ブロッス帝国の魔導師団に連れ去られたエイムはその魔導師団の一員であるアビィから自分達に協力するよう言われるが、拒否の姿勢を示し、その態度を受け、アビィはエイムにとっては信じがたい事実を伝える。
「聞こえなかったか?お前はかつてボース国に仕えていた魔術師の子だということを」
一瞬動揺するエイムであったがその言葉に対し、否定の言葉を述べる。
「な、何をおっしゃっているんですか。私には故郷に両親がいます。そんな言葉で私を騙そうなんて……」
「ふっ、血筋により魔力の波動は似る。お前もそれくらいは知っているであろう」
「確かにそうですが、私とその魔術師の魔力の波動が似ているからといって、それだけでは親子とはいえないはずです」
エイムはあくまでも否定の言葉を貫くが、アビィはそこからも話を止めない。
「それならお前と、故郷でお前を育てたという両親はどうだ」
「え⁉どういうことですか?」
「コッポにも間者を派遣していてな、お前の育った村の住人は誰1人、戦いに向いた魔法を使用できないそうではないか、だがお前は我ら魔導師団でも習得に至らない魔法が使え、4属性の精霊とも契約している。おかしいとは思わなかったのか?」
「そ、それは……」
エイムにとってもそれが当たり前で過ごしてきた為、あまり深くは考えなかったが、ここに来て自身、両親や村人達との違いからアビィの言葉を単純に嘘だとは割り切れなくなってきたのだ。
動揺するエイムにさらにアビィは追い打ちをかける。
「それがまずお前が少なくともあの村で生まれたという可能性は小さくなる。16年前、コッポのその村の近くの街でボース軍の襲撃があったという事は知っているか?」
「いえ……」
「お前の育ての両親や村の者達はその事実を伏せたか、その襲撃は見せかけで実際はボースがお前の両親を謀殺したのだ」
「ぼ、謀……殺……」
呆然とするエイムにさらにアビィは言葉を続ける。
「その際に両親より逃がされたお前はあの村の者に拾われたのだ」
決定的な言葉にエイムの心は限界にきて叫び声が止まらなくなる。
「う…嘘です!……嘘です!嘘です!嘘です!嘘です!」
エイムの心からの叫びは止まらず、必死で否定するほかなかった。
「本当のお父さんとお母さんは殺されて、今の私のお父さんとお母さんは本当のお父さんとお母さんじゃないって、そんなの信じたくありません!」
エイムの叫び声に我慢ができず、アビィはエイムの頬を平手打ちする。
「黙れ小娘!お前だけが両親を殺されたというわけではないのだ!」
「それって……どういう……」
「我が父も殺されたのだ」
アビィの父の死の真相とは?