エイムはアビィより自らの実の両親がボース国により謀殺されたという事実を聞かされ、動揺が隠せず声をあげるがアビィより平手打ちを受け、更にアビィは自らの父親の死について話を始める。
「私の父エーブルもお前の両親同様、ボース国に仕え、エンビデス様をお支えになっていた」
エイムは黙ってというより言葉を放つ気力すら失せてしまっており、ただアビィの話を聞いていたが、アビィはその事は意に介さず話を続ける。
「お前の両親が殺された頃にエンビデス様と私の父は別の地域へと遠征していた。だが、ボース王は両者の部隊を分割するよう命を下し、父はより危険な地域の最前線に派遣された。どういうことか分かるな?」
少し気になったエイムは深く聞いてみた。
「ひどい……どうしてそんなことに」
「ボース王は私とお前にあらゆる魔導実験をするよう両親達に命令したのだ。それこそ命にも関わりかねないな」
「えっ⁉」
「だが両親達はその命を拒み、エンビデス様も危険性を進言してくださったが、ボース王は我らの両親が邪魔だと感じ、謀殺したのだ」
ボース王の暴虐ぶりにエイムは言葉がなかったが、アビィにとってはボース王は憎い相手であり、その事についても言及した。
「私は既にその頃は物心がついており、父親の死をボース王が仕組んだことをエンビデス様より聞かされた。その後、陛下とエンビデス様が中心となりボースを転覆させた。我が憎き相手を滅ぼしてくださった」
「まさか……それで……あなたは」
「だからこそ私は帝国の為に自らの力を尽くすと決めたのだ。それが私の選んだ道だ」
黙るエイムに対し、アビィは更に言葉を続ける。
「お前にとっても憎き相手を滅ぼしてくださった相手に自らの力を尽くすべきではないのか?」
エイムも両親を殺され、更に結果的にではあるが敵討ちをした帝国に力を尽くすべきではないかと揺さぶるが、エイムは強く否定する。
「それでも私は帝国に協力はできません」
「何⁉」
「帝国が結局今していることは私やあなたのような人を増やしているだけです。私はそれを止めたくて帝国や魔族と戦っているんです」
エイムの頑なな態度に再びアビィの怒りが爆発する。
「貴様!ここまできても我らへの協力を拒むとは、言って分からぬなら……」
次の瞬間アビィは自らが所持する杖を取り出し、エイムに対し殴りかかろうとするがどこからともなく声がする。
「おやめください!」
声のした方を振り向くとそこにはプラナがいた。
「プラナ卿!何故貴君が⁉」
更なる一波乱の予感が⁉