魔術師アビィはエイムに対し、帝国への協力をするよう話すがエイムにより拒否され怒りが爆発し杖で殴りかかろうとするが、その様子を目撃したプラナにより制止される。
周囲の警戒をしていたはずのプラナが自分の前に現れたことに疑問を抱いたアビィはプラナに尋ねる。
「プラナ卿、何故貴君がここにいるのだ?周囲の警戒はどうした?」
「騒ぎがあったのでもしやと思い駆け付けたのですが、まさかあなたがそのようなことを……、アビィ殿、例え敵であっても捕虜に対する暴力行為は許されません!我らブロッス帝国の誇りを汚すような行為はお止めいただきたい!」
プラナは捕虜への暴行が帝国の誇りを汚す行為だとアビィを糾弾するが、アビィも反論をする。
「我らに逆らう者は多少の痛い目を見てもらわねば分からぬこともある。それにこの者は本来ボース、つまり我ら帝国の者の血筋なのだぞ」
「それは本当なのですか⁉」
「ああ、魔力の波動や彼女が育った村のあらゆる状況と照らし合わせた結果間違いはない」
「……例えそうだとしても、いえそれならなおさら時間をかけて説得すべきです。彼女がコッポの村で育ったということは私も話で聞いております。自分が帝国の者だと言われてもすぐには受け入れがたいでしょう」
プラナがまるでエイムを擁護するかのような発言をする為、何かと思ったアビィであったがすぐにその理由を察した。
「ふっ、やけにこの娘に対し甘い発言をするな。まさか貴君自身の境遇を重ねたのか?」
「なっ⁉」
アビィの発言にプラナは動揺し、エイムも驚きを隠せないようだが、アビィは言葉を続ける。
「貴君は赤子の頃に騎士団の一員の者の養女として引き取られたな、それも外交交渉の為に」
「確かに私はボース、つまり帝国の者の血筋ではありません。ですが帝国の為なら身命を賭す覚悟で戦って参りました。この娘に関してはあくまで捕虜の処遇は丁重に扱うべきだとう申しておるのです」
「ならば貴君が説得してみせろ。私も撤収準備をしてくる」
そう言ってアビィはその場を離れ、撤収準備に向かう。
取り残されたエイムとプラナであったが、とりあえずエイムはプラナに声をかける。
「あの、助けていただき、ありがとうございます」
「私は誇りを守るべきだと申しただけだ、貴様の為ではない」
「それでも、お礼が言いたかったんです」
「おかしな奴だ。私とお前は敵だぞ」
プラナの言葉を聞いて、エイムは返答をする。
「確かにそうかも知れません。でも人間同士でもあります」
「何?」
「理由がどうあれ、あなたが私を助けてくれて事には変わりません。人同士ってそういうこともあると思います」
「先程の魔術師の怒り具合から反抗的だったように思うが、何故私にはなんとういか、まるで親しき者かのように話すのだ?」
エイムはプラナに何を見たのか?