プラナの反抗的な言葉に気分を害したのかアビィはその場を離れ、プラナにエイムの説得を委ねたというより押し付けたといったほうが正しいだろう。
ともあれ現在この場にはエイムとプラナしかおらず、エイムはプラナに対し礼の言葉を述べていたが、プラナはエイムが同じ敵であるにも関わらず自分とアビィに対する接し方が違う理由を尋ね、エイムが返答をしていた。
「先程の魔術師の人から信じられない話を聞かされたというのもありますが、あの人は私をもうまるで自分の部下かのように扱おうとしていました、でもあなたは私を敵であるにも関わらず1人の人間として助けてくれました」
「まさかそれだけか?」
「いえ、以前スップであなた達と遭遇した時にギ……私の仲間は勘違いをしていたようですが、あなたはマリンちゃん……あの女の子には何もするつもりはなかったんじゃないかなと思ったんです」
「……無抵抗な子供を手にかけることなど我ら誇り高き騎士はしない。当然のことだ」
プラナの返答を聞き、少し緊張が解け、先程よりは落ち着いたのか、エイムはプラナに対しあることを尋ねてみる。
「あの少しあなたのことを聞いてもいいですか?」
「私の事か?」
「あなたも本当のお父さんとお母さんの顔を知らないんですよね、私はまだ心の整理はつきませんがあなたはどうやって……」
次の瞬間プラナは怒りを爆発させエイムに詰め寄る。
「私にとっては本当の親など憎しみの対象でしかない!」
「え⁉」
「赤子の私を自らの保身の為に他家に養女として送るような者達だぞ、許せるわけがなかろう。もっともその者達は結局滅んでしまったがな」
「ご、ごめんなさい……」
謝罪するエイムに対しプラナも我に返りエイムに謝罪する。
「いや、こちらこそすまない。お前にこんな事言っても仕方ないのに……」
「でも聞いたのは私です」
「結果的にではあるが別の者が滅ぼしたことで私は憎しみの行き所を失い、そんな時に私に魔導騎士団への入団の推薦があった。帝国の1強になれば私のような者はもうでてこない。そんな時代を作れればと思った」
「やっぱり私達との休戦はできませんか?あなたがそういう考えで戦っているならそれも可能だと思います」
改めての休戦案だったが、プラナははっきりと拒絶する。
「私には決定権はない!それに私もカイス様と同じお考えで他国は信用ならん」
エイムとプラナのやり取りの最中にアビィが現れ、プラナに尋ねる。
「プラナ卿、説得はうまくいったか?」
「申し訳ありません、説得は無理でした」
「ふん、まあいい、撤収準備ができたからこの場を離れるぞ」
このままエイムは帝都まで連れ去られるのか?