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暗号を読む

 リンドに迎えの船の出港を要請したルルーとウィル、そして船に詰め込む物資の調達を終えたエイム達が船着き場に戻って来て、全員が集合したのを確認すると早速物資をまずは貸馬車に詰め込み、詰め込み終えるとブロッス帝国将軍フィファーナの船を探す方法の話し合いを行おうとしている。


「とりあえず、物資は詰め込んだ、今からフィファーナ将軍の船を探すぞ」

「けどよ、どうやって探すんだ、さっき民間船に偽装してるかもしれないって言ってただろ」

「一隻づつ当たるしかない、向こうも俺達には見覚えがあるわけだしな」


 ギンがブライアンに対して説明していると突如気配を感じ、ギンがその方向に身体を向けて叫ぶ。


「誰だ⁉」


 ギンがそう叫びながらその方向を向くと、ローブを着用し、容姿が分かりにくい人物が目の前におり、その人物がギンに対し無言で紙切れのような物を渡すとその場を去っていく。


「待て!お前は……」


 ギンが呼びかけるもその人物は振り返る事もせず、ギン達の視界から姿を消す。


 戸惑うギンにルルーが声をかける。


「ギン、とりあえずその紙を見てみましょう、伝えたいことはそれに書いているはずよ」

「そうだな、読むぞ『東の最果てに行くべし』と書いているが、一体どういう意味だ?」

「暗号みたいなものかしら」


 紙切れに書いてある文面の意味を読み解こうと悩んでいるとウィルが自分の考えを話す。


「多分だけど、船着き場の一番東側に来いって意味なんじゃないかな」

「そうなのか、しかし何故そう思った?」

「さっきの奴がフィファーナの部下だとしたら俺達には船の場所に誘導したいだろうし、もしかしたら俺達が動き回ったり、自分達から接触するとばれるリスクがあると思って、こんな回りくどいやり方をとったんだろうと思うぜ」

「まあ、とりあえずはそこに行ってみるしかないようだな、ウィル案内を頼む」


 ギンの懇願を聞いてウィルが気持ちよく返事をする。


「おお、任せろ!」

「それじゃあ、荷物を載せているから馬車は俺が御す」

「じゃあ、もう1台の馬車はあたしに任せて」


 ギンとヨナがそれぞれ荷物を詰めた貸馬車を御して東を目指していく。


 東側を目指す途中でエイムがウィルに声をかけている。


「すごいですねウィルさん、あれだけでフィファーナ将軍が何を伝えたいか分かるなんて」

「親父からはよく暗号を読み解く練習をさせられたからな、いかに味方だけに分かるようにするかに重点を置いてな」


 ウィルがそう話していると少しづつフィファーナの待つ船に近づいていた。

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