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再度帝国へ

 ウィルがフィファーナの部下と思わしき人物より渡された紙に書かれた暗号のような文を読み解き、その暗号の場所と思われる場所に近づくと船が見えてきて、ヨナが最初に言葉を発する。


「見てよみんな、船だよ。でもあの派手女将軍の船にしちゃあなんか地味だね」

「フィファーナもなるべく目立たないようこの船を選んだんだろう」


 ギンとヨナがやり取りをしていると船からある人物が降りてきてギン達に声をかける。


「わらわが派手とは少々いただけんのう」

「フィファーナ将軍!」

「わらわの美しさが回りを輝かしているに過ぎんだけじゃ」


 フィファーナの持論に対してヨナが反論をする。


「いや、そんな濃い化粧でなにを言ってんだよ」

「たわけが、わらわのは戦化粧じゃ、戦う者に対しての最低限の礼儀じゃ」


 フィファーナがそう言うと、ギンがすぐに船の話に切り替えて話を進める。


「フィファーナ、俺達もこの船に乗って帝国に行くんだな?」

「そうじゃ、早速荷物を詰め込め、その馬車は貸馬車のようじゃな」


 フィファーナより貸馬車の事を尋ねられるとヨナが反応し、部下の傭兵にも声をかける。


「そうだよ、あんたら貸馬車を返したら船乗りのおっちゃん達と合流しな、あんたらもおっちゃん達と一緒にあたし達を迎えに来てよ」

「わかりやしたぜ姉御」


 傭兵がそう返答をして馬車から荷物を下ろし、順番に詰め込んでいく。


 全ての荷物をフィファーナの船に詰め込み終えると部下の傭兵がヨナとギン達に声をかける。


「それじゃあ、姉御、旦那達、迎えに行くんで、絶対に死なねえでくだせえよ」

「ああ、あんたらに死体の運搬をさせるつもりはないよ」

「その意気ですぜ、特に姉御はいずれはグラッスのお妃様になるかもしれねえですから」

「え、そ、それは……」


 傭兵の思わぬ発言にヨナは戸惑うが馬車を返しに行く傭兵は、ヨナやギン達に同行する傭兵に声をかける


「じゃあ俺達は馬車を返してくるからお前達任せたぜ」

「おう、任されたぜ」


 そう言って馬車を返しに傭兵はその場をあとにした、傭兵の言葉に動揺したヨナから思わず声がもれる。


「まったく、あいつら……」

「ヨナ」

「何だいウィル?」

「グラッスのお妃様候補が帝国で死んだら大事件だから絶対死ぬなよ」


 ウィルの発言に対してヨナが思わず声をあげる。


「ウィルーーー!あんたまで!」

「でも王様の為にも生きて帰らないとね」

「王様がどう思ってるかなんて分からないじゃないか」

「おお、お前自身の気持ちは否定しねえんだ」


 出航前の穏やかなひと時がその空間に流れていた。

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