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青龍15

何とかかんとか、てんやわんや色々ありつつも、そこそこしっかり生きてきた人類は、ある時、突然大きな進化を迎えた。


言葉を喋らずとも、自分の思っていることが相手に伝わるようになったのだ。

ちょっと意識を向けるだけで、すぐに相手とコミュニケーションを取ることが出来る。

中々に劇的な進化だった。


相手の考えていることが分かるようになると、不便になることもあるかもしれないが、本音を理解し合えるので悪いことばかりではない。しかも誰か一人ではなく、皆が皆、条件はイーブン。未来は明るいと考える人も多かった。


さて、この能力を人類が手に入れ、その後、どうなったか。


簡単だった。相手に嘘を伝える能力が発達した。本音を伝えずオブラートに包んで伝える能力や、本心を相手に伝わらないように防御する能力も同時に発達した。


結局、進化を迎える前とそんなに変わらなかった。


どこまでもずるく、どこまでも卑怯、どこまでも臆病で、どこまでも馬鹿。

でも、私は神として、そんな人類がどうにも嫌いになれない。


【テレパシー】

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