街中がパニックだった。「パニック」という言葉がこれほどまで当てはまる状況もなかった。
叫び声、人の怒号、子供の泣き声、そして走る人、人、人…。
皆、逃げていた。そして逃げる人たちを追うように迫る、超巨大な影。ズシンズシンと、リズムこそ遅くとも、確実にこちらへと迫る足音。一歩そいつが足を着くたび、地面が揺れる。
「逃げろー!!『愛するより愛されたい人』が来るぞー!!」
「やめろー!!『愛するより愛されたい人』ー!!」
「まずい!!愛されさせられるぞー!!」
人々が必死で逃げる。ある者は泣きながら。ある者は全速力で。
そして、人々が逃げるその先に、巨大な人影が現れる。神々しい光に包まれたその影は、人々を追う影に真っ向から向かい合う。
逃げていた人々の顔に、希望が満ち溢れた。人々が声を揃える。
「『愛されるより愛したい人』だー!!」
対峙する、『愛するより愛されたい人』と、『愛されるより愛したい人』。
二体は今、闘わんとしていた。
やっぱり、求めてばかりいちゃダメで、欲しいものは、欲しい時に自分で掴み取らなきゃならんのだろうな。
【テイカー VS ギバー】