文字通り、僕の実家は山と川と田んぼしかないド田舎だ。
ただ、そんな田舎の数少ない良いところは、この星空の眺めだろう。
実家に帰ってくるたび見上げているが、いつ見ても圧巻の一言だ。
今日も星を眺めていた。
ちょっとした、だだっ広い丘みたいなところに寝転がって、星を見る。
実家の楽しみの一つだった。
星空を見ながら、いろんな想いを巡らせる。
この星空の前では、どんな悩みも小事に感じるから面白い。
ふと、汽笛の音が聞こえた。
ん?とあたりに目を凝らす。特に何もない。空を見る。北の方、北極星のあたりだろうか? 黒い影が見えた。
その影はどんどん大きくなる。再度汽笛の音。影の形がよく見えてくる。煙を発している。
あれは…汽車だ。古い型なのだろうか。昔、童話でしか観たことがなかった鉄道。
それが今、夜空を走っている。
汽車が近付いてくる。もう肉眼でもはっきりと汽車と分かるまでになった。
そして私のそばに着陸する体勢を取った。後少しで汽車の車輪が接地しそうだ。浮いているから接地する必要あるのか疑問だが。
汽車が地面に着く。そして、私の前を猛スピードで駆け抜けていく。
遠くから見たときはそう見えなかったが、結構なスピードで運行していたらしい。
そして、私の前を数十秒、走ったかと思うと、汽車は星空に向かって離陸していった。
満天の星空に向かってみるみる小さくなっていく汽車。
なるほど。
急行だったらしい。
【銀河鉄道】