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青龍27

文字通り、僕の実家は山と川と田んぼしかないド田舎だ。


ただ、そんな田舎の数少ない良いところは、この星空の眺めだろう。

実家に帰ってくるたび見上げているが、いつ見ても圧巻の一言だ。


今日も星を眺めていた。

ちょっとした、だだっ広い丘みたいなところに寝転がって、星を見る。

実家の楽しみの一つだった。


星空を見ながら、いろんな想いを巡らせる。

この星空の前では、どんな悩みも小事に感じるから面白い。


ふと、汽笛の音が聞こえた。


ん?とあたりに目を凝らす。特に何もない。空を見る。北の方、北極星のあたりだろうか? 黒い影が見えた。


その影はどんどん大きくなる。再度汽笛の音。影の形がよく見えてくる。煙を発している。


あれは…汽車だ。古い型なのだろうか。昔、童話でしか観たことがなかった鉄道。

それが今、夜空を走っている。


汽車が近付いてくる。もう肉眼でもはっきりと汽車と分かるまでになった。


そして私のそばに着陸する体勢を取った。後少しで汽車の車輪が接地しそうだ。浮いているから接地する必要あるのか疑問だが。


汽車が地面に着く。そして、私の前を猛スピードで駆け抜けていく。

遠くから見たときはそう見えなかったが、結構なスピードで運行していたらしい。


そして、私の前を数十秒、走ったかと思うと、汽車は星空に向かって離陸していった。


満天の星空に向かってみるみる小さくなっていく汽車。


なるほど。

急行だったらしい。


【銀河鉄道】

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