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青龍46

百物語――日本の伝統的な怪談会の一つ。


百本の蝋燭ろうそくを用意し、すべてに火を灯す。

その部屋には、怪談を語る話者たちが座る。


話者は一つずつ怪談を話していく。

話を終えると、一本蝋燭を消していく。


交代で怪談が語られ、蝋燭は一本ずつ消えていく。

部屋は徐々に暗くなっていき、そして最後の一本が消されたとき――。


――“何か”が、起こる。


と、まあこのような趣旨のイベントだが、これをサークルのメンバーで実施することになった。


畳の部屋を借り、蝋燭を準備し、火を灯した。

サークルの仲間、先輩、後輩、皆で輪になって座り、怪談を話し始めた。


そして、途中。先輩の怪談話で、オチのときに「お前だー!」と大声を出した。


後輩の女子が驚いて「ギャア!」と叫び、身体を震わせた。

その勢いで、蝋燭を一本、倒してしまった。



畳の部屋で。



このあと、サークルの面々は、用意されていた百の怪談――おそらく、そのどれよりも恐ろしい現実に、これから直面することになる。


残酷なようだが、火を扱うのである。水の入ったバケツや消火器を備えていなかったのは不用心極まりない。要反省と言わざるを得ないだろう。


【不用心】

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