帰り道、ふと空を見上げた。その夕焼けの色が、あまりにも美しかった。
背筋を撫ぜる美しさだった。
こんな壮大で、こんな麗明な色の空は、生まれてこの方、見たことがなかった。
空を見て涙を浮かべたのも、生まれて初めてのことだった。
こうしてはいられない、私は家路を急いだ。
帰宅する。
私はとりあえず、そこらへんからバケツに集めた土を、部屋中にぶちまけた。
すぐさま全裸になり、奇声を発し、腰を振りながら、バッドで辺りの家具やら何やらを破壊活動。
様子を見に来た近隣住民が警察へ通報、すぐさま駆けつけてきた警官に対し、おまえのかあちゃんデベソとシャウトしながら、回転しつつ放尿開始。
私は、あまりにも美しいものを見てしまったとき、あまりにも醜いものを充てないと、どうにも調子が悪いのである。
警察にお縄になりながら私は振り返る。先程の夕焼けは本当に美しかった。
【プラスマイナスゼロ症候群】