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青龍48

帰り道、ふと空を見上げた。その夕焼けの色が、あまりにも美しかった。


背筋を撫ぜる美しさだった。

こんな壮大で、こんな麗明な色の空は、生まれてこの方、見たことがなかった。


空を見て涙を浮かべたのも、生まれて初めてのことだった。


こうしてはいられない、私は家路を急いだ。


帰宅する。

私はとりあえず、そこらへんからバケツに集めた土を、部屋中にぶちまけた。


すぐさま全裸になり、奇声を発し、腰を振りながら、バッドで辺りの家具やら何やらを破壊活動。


様子を見に来た近隣住民が警察へ通報、すぐさま駆けつけてきた警官に対し、おまえのかあちゃんデベソとシャウトしながら、回転しつつ放尿開始。


私は、あまりにも美しいものを見てしまったとき、あまりにも醜いものを充てないと、どうにも調子が悪いのである。


警察にお縄になりながら私は振り返る。先程の夕焼けは本当に美しかった。


【プラスマイナスゼロ症候群】

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