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青龍49

「あのさぁ…」


「どうしました?」


「“オクトパス” って、タコだっけ? イカだっけ?」


「タコですよね」


「イカはスクウィッド」


「発音いいな」


「確か "オクト" が 8 を意味してるとかなんとか」


「8本足だからか」


「あれ、イカも実は8本足らしいですね」


「そうなの?」


「なんか、2本は意味合いが違うらしいです」


「意味合い?」


「じゃあ、10本足のタコもいるんだろうか」


「じゃあ、て」


「…おー、すげぇ、検索したらヒットしました。写真ないですが、発見されたことあるみたいです」


ここで社内の予鈴がなった。

ファシリテーター兼、社長が口を開く。


「はい、それでは、最後の定例会議を終了いたします。何かご意見、ご質問ある方…いらっしゃいませんね。それではお疲れ様でした」


次々に立ち上がる役員たち。


この会社は明日、倒産する。


それでも月曜の定例は一応やっておこう、ということらしい。


そういうところが、倒産の理由じゃないかとも思う。


出席者は、明日から皆、役員でもなければ役職持ちでもない、ただの市井しせいの人となる。


【ファイナル・ミーティング】

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