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第8話 異世界クッキング②

 カットした玉ねぎはオリーブオイルで炒め、途中でほうれん草、ベーコン、茹でてもらったブロッコリーを投入。ほとんど火が通ったところでキノコとプチトマトを入れる。


 ボウルに卵を割入れて、牛乳、生クリーム、チーズ、パン粉をいれる。

 具材が仕上がったら、フライパンに顆粒ブイヨンを入れようとして、イザークは慌てた。


「ブイヨンってあります?!もしくはコンソメでも」

「どちらもありますよ」


(あるのか……良かった)


 ダリルが出してくれたのは、顆粒だった。

塩コショウ、ハーブミックス、乾燥パセリ、牛乳で薄まる分少し濃いめに味付けを。

 乳液とフライパンの中身はここで一休み。パイシートが出来上がるまでの待機だ。


 ダリルには、海老や貝の下処理も頼んだが丁寧な砂吐きと背わたとりで安心する。

 茹でた卵の殻を剥きながら、卵は細かくカットして、串が通るまで柔らかくしたじゃがいもをマッシュ。鍋に、はちみつ、粒マスター、醤油、コンソメ顆粒を弱火にかけてマッシュしたじゃがいもと絡めて仕上げに粗挽き胡椒を振りかける。これでハニーマスタードポテトの完成だ。


 次いで、もうひとつのメインのパスタにとりかかる。

 自力で見つけたニンニクを刻み、玉ねぎを刻む。玉ねぎが染みるのは久しぶりだ。


「玉ねぎは冷蔵庫で冷やしておくと目にしみないから便利ですよ」

「勉強になります」

「マジックバックがもう少し普及するとね〜もっと新鮮なうちに持ち帰られるんだけどねぇ〜」


(異世界ワードきた!!)


 フライパンにニンニクと玉ねぎ、刻んだセロリをオリーブオイルで炒めながら、イザークの耳はミラクルワードを聞き取っていた。


「ダンジョン探索部隊を増やすか?」

「エルフの国にはマジックバックを作れるものもおるが、気分屋でめったに作らぬのじゃ」


 玉ねぎからはふんわりと甘い香りが立つ。イザークは湯むきと種取りして作ったトマトソースを入れて、塩コショウすると蓋を閉じた。


「そろそろ1時間です」

 ダリルに言われて、冷蔵庫で寝かせた生地を練る。イザークが耐熱皿にバターを塗って、大きさを合わせている間に、ダリルがタルトストーンを出してくれる。


 生地の生焼けとしなしなを避けるために、生地にタルトストーンを入れてオーブンで空焚き。そしてタルトストーンを外して2度目の空焚き。


 ほうれん草やベーコンの入ったフライパンに、パン粉の入った乳液を流し込んで混ぜる。よく混ざったところでパイ生地に流し込んだ。


「これをこのままオーブンで」

 ハニーマスタードポテトは完成、キッシュも焼き上がれば完成になる。

 イカを格子切りにし、ほたての貝柱は四つに切る。フランスだとほたての紐は捨てられる部分だが、塩でぬめり取りをして、出汁の為に刻む。


 寸胴鍋にお湯を沸かし、パスタを茹で始める。

巨大フライパンでは、潰したニンニクに種をとった赤唐辛子をいれてじっくり煮込む。


 そこに海老、ほたて、砂抜きしたアサリとイカを広げるように入れて、白ワインを入れてアルコールを飛ばしながら、煮込んでいたトマトソース流し入れる。つぶしたニンニクと赤唐辛子は箸で取り除いた。


 茹で上がったパスタを鍋に。へらで混ぜながらオリーブオイルを回し入れて、バジルを刻んだものを散らしてこちらも完成。


 出来ればスープとサラダも作りたかったが、いちいち食材や調味料を頼む不慣れな工程で時間がかかり過ぎていて諦めることにした。


「あとはキッシュが焼き上がるまであと数分なんですけど、他は出来たてです。先に召し上がりますか?」

 歓声が上がって、そのままキッチンで皿が配られた。

 他のダイニングルームなどには移動せずに、ダイレクトにキッシュを待つらしい。

シトラも期待に満ちた目でイザークを見つめていた。

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