※ドッグトレーナー吉松モゲラ氏が運営する「ワンワンなんでも相談室」チャンネルで2018年6月29日に配信された動画。
※組織の監視対象である塚森キミカがとある事件後、繰り返し視聴していた模様。
※動画自体に異常性などは皆無。怪異との関連性も特になし。
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吉松モゲラ(以下モゲラ):
どうも。ドッグトレーナーの吉松モゲラです。
今日はとある事件のニュースを受けて緊急で動画を回しています。
……カヨちゃん?
有村カヨ(以下カヨ):
はい、アシスタントのカヨです。
……ええっと、今回の動画はですね。
先週発生した、大型犬が乳児を噛み殺してしまうという大変痛ましい事件について取り上げさせて頂きます。
モゲラ:
うーん、かなり重いけれどうちのチャンネルとしては避けられない話ではあるよね。
お店に相談に来てくれるお客様にも、噛み癖のあるワンちゃんについてお悩みの方は多いから。
では、事件についての概要をお願いします。
カヨ:
はい。
……事件が起きたのは、■県夢ノ宮市の住宅街在住のSさんというお宅です。
Sさんはお勤めになられていた会社を退社した後、奥様と保護犬を三頭も引き取られて大層かわいがっておられたということなのですが、事件が起きた日、保育園に預けられていたお孫さんが急な熱を出してしまうんですね。
娘さんは仕事があり職場を離れることができないため、代わりにSさんの奥様、つまりおばあちゃんがお迎えに行かれたということです。
そして、お孫さんはSさん宅にて休むことになり、その間Sさんは三頭いる犬達のうち、二頭つれて散歩に出かけました。
モゲラ:
じゃあ、家に残った一頭と言うのが問題の……。
カヨ:
ええ。お婆さんはお孫さんを寝かせつけ、夕飯の用意を始めたのですが……。
お孫さんの側には後で散歩に連れて行くと言うことで、一番大きなワンちゃんはお孫さんと同じ部屋で待機していたということで……。
モゲラ:
そして、その部屋で事件が起きてしまった、と。
(深いため息)
うーん、知れば知るほど痛ましい事件、としか言いようがないなぁ。
カヨ:
この事件の後、うちのチャンネルに質問をくださる方が増えていまして。
やはり、いくら愛情を注いでいても動物は動物。本当に絆を結ぶことなどできないのではないか、と悲観的なご意見が多いですね。
モゲラ:
じゃあ、一つ一つ順番に応えますね。
まず、結論から言ってしまいます。
大変申し訳ない言い方になってしまうけれど――犬が人間を噛んでしまうのは、ほぼほぼ人間側に問題があるからです。
言うまでもないことですが、人間と犬の共生関係の歴史は長いです。
例え野良犬であったとしても、彼らは人間が全く存在しない環境では生きていくことができないんですね。つまり、生ゴミなど拾って食べるものすらない山奥とか……。
種全体として人間に依存している犬は、基本的に友好であることが生存のための戦略なんですよ。
つまり、彼らにとって人間を噛むということは自殺行為に等しいと言っても過言じゃない。
なのに、どうしてこういった事件が起きてしまったのか。
実は犬が人間を噛む理由というのは二つしかない。
人間に対して激しい恐怖心、もしくは激しい嫉妬心にかられた時です。
カヨ:
恐怖と嫉妬……ですか?
モゲラ:
そう、恐怖と嫉妬。
ここから先は僕の推測だけど……
多分、事件を起こした子は自分だけ、散歩に連れて行ってもらえなかった時点で相当イラついていたと思う。
それからお孫さん。
だいたい、赤ん坊と大型犬だけを部屋に残すこと自体かなり問題ありなんだけど、Sさんと娘さんは離れて暮らしていたということから、その犬がお孫さんみたいな小さな子どもに慣れていなかったのかもしれない。
飼い主の血縁なのに、と思う人もいるだろうけど犬にそんなことは理解できないんだよね。
せいぜい、飼い主と仲良くしている他所の人ぐらいの認識だったんじゃないかな?
そう言う環境は犬にとって相当なストレスだったはず。
お孫さんはお孫さんで途中で目を覚まし、お母さんが近くにいないことに気がつき騒いだかもしれない。側にいた犬にちょっかいと受け止められるようなことをしてしまったのかも。
そして、苛立ちや恐怖心がマックスに達してしまった犬は思わず…。
カヨ:
ああ……。そういうこと……だったのかも知れませんね……。
モゲラ:
確かに犬は僕たち人類にとってかけがえのない友人とも言うべき存在です。
だけど、人間と同じではない。ストレスを感じたら、普段では考えられないような動きを取ってしまうことがあります。
そうならないためにはどうすればいいのか?
常に犬の置かれた環境に注意して、出来るだけストレスを感じないですむ状況や危険を遠ざけてあげるしかありません。
多くの人は自分は飼い犬をかわいがっていると思っているし、またその通りなのだろうけど――
今回の事件のように犬が悲しい罪を背負わないよう、本当にその子の精神状態にまで寄り添っているのか、一度、真剣に向き合ってみてはいかがでしょうか?