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第22話

 その後グンジおじさんは捕らえられ、牢に入れられた。おそらく一生出てこれないだろう。死刑にならなかっただけでも幸運だと言える。レオお兄様も甘いものだ。


 ……そんなわけで、私たちは城に戻り祝杯をあげていた。


「いや~、四人とも、よくやってくれた!」


 レオ兄様が、満面の笑みで迎えてくれる。

 全く、自分は宮殿から出ずに安全な場所にいたくせに、のんきなものだ。


「アビーも活躍したんだって?」


 レオ兄様が私に尋ねる。


 私はアビゲイル義姉様のボンテージとムチ姿を思い出し、ポリポリと頭をかいた。


「えっと……その……かなり印象に残る活躍でした」


 私が言うと、アビゲイル義姉様は顔を真っ赤にした。


「いえ、全てはミア姫の活躍によるものですわ」


「またまた~! 聞いたぞ? こう、ボンテージで女王様で鞭でビシバシやったのだろう!? ああー、俺も見てみたかったなあ」


 目を輝かせるレオ兄様。恐らくヒイロかアオイから報告を受けていたのだろう。


 爺やとモアが首を傾げた。


「ムチ?」

「女王様??」


 そういえば、この二人はあの姿を見てないんだもんな。

 すると真っ赤な顔をしたアビゲイ義理姉様が、ごほん、と咳払いをする。


「後でじっくり披露いたしますわ」


 にっこりと笑うアビゲイル姉さん。しかし、その瞳は笑っていない。ヒイッ! 座ってるよ! 姉さん、目が座ってる!


 ……でもまあ、兄様は一度じっくり調教されたほうがいいな。うん。


「あ……なんだろう、その冷たい目、すごくゾクゾクする!」


 と、レオお兄様も新たな趣味に目覚めて喜んでいるみたいだし。……ある意味、良かったのかな?


 するとモアがほっぺたを膨らませてむくれる。


「モアを置いてみんなで楽しそうなことをしてたんだ。ずるーい!」


「だって、危ないじゃないか。もしモアが怪我でもしたら」


「やだーモアも冒険行きたい」 


 完全にすねるモア。


 私はモアのぷくぷくのほっぺをそっとつまんだ。


 モチのような柔らかさに、私は頬を緩ませる。


「あはは、やわらかーい」


 するとそんな私を見て、モアも少し頬を緩ませた。


「もう、お姉様ったら」


 そんな私たちを見て、レオ兄様は苦笑した。


「まあまあ。そうだ、四人には何か褒美をやろうと思うのだが、どうだ? ミア、何か欲しいものはないか?」


「褒美?」


 私は首をひねった。


 褒美かあ。


 そうは言っても一国の姫だし、欲しいものはここにいたら大体手に入る。私は頭を掻きながら答えた。


「いや、特には。しいて言うなら冒険の旅に出たいけど」


「なりませぬ!」


 顔を真っ赤にして即答する爺や。分かった、分かった。苦笑するアオイとヒイロ。それを見た私の頭に名案が浮かんだ。


「ならさ、アオイとヒイロと一緒ならどうだ? 一人でじゃなくて、誰かと一緒なら危なくないだろ?」


 ヒイロがため息をつく。


「残念だけど、あなたを一緒に連れていくことはできない。次のクエストの予定がもう入ってるし、そのクエストはかなり難しいものになる予定だから、冒険者登録もしてない人を連れていけない」


「そうなのか」


 そういえば、冒険者になるには冒険者登録が必要だって聞いたことがある気がする。でも、それってどうやって登録するんだろう。


 私がヒイロに尋ねようとした時、レオ兄様が顔を真っ赤にして反対した。


「そうだそうだ、絶対にダメだ! ミアの側に男を置くなんて!」


 えっ? 


「男?」


兄様、アビゲイル義姉さん、そしてヒイロの視線が一斉にアオイに集まる。


「えっ」


  私はアオイの顔を見た。アオイがニコリと笑う。か、可愛い。こんなかわいい子が男のはずが……私はアオイの股間を見た。


「こらこら、どこを見ている」


 レオ兄様が呆れ顔をする。私は唾を飲み込んだ。まさか?


「見ただけじゃよくわからないな。ちょっと触ってもいいか?」


「駄目ですっ!」


 アオイが涙目になる。


「そんなことしなくても大丈夫だ! アオイは男だ! 俺がちゃんと男だと確かめたから間違いない!」


 レオ兄さんが胸を張る。


 ええぇぇぇぇ!?


 こんな可愛いアオイが男だなんて、そんなのあるわけない!


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