「ルーラ! こっちを見なさい!」
マロンが立ち上がる。
頼むよ。うまいこと相手を引き付けて……!
私は心の中で祈った。
ルーラの視線がマロンに行く。
「んあ!?」
ルーラの肉襦袢みたいなあご肉がぶるんと揺れる。
そしてマロンはそのまま、勢い良くシャツの前をはだけた。
「よく見なさい! これが、スイカと同じサイズのバストよ!!」
ぶるん!
勢いよく目の前に飛び出してきたスイカバストに、ルーラだけでなく私の目もくぎ付けになった。
「ほら、見なさい!」
垂直跳びをしてボインボインとバストを揺らすマロン。
そ、それはちとやりすぎでは……?
チラリと横を見ると、上に下にとブルンブルン揺れるおっぱいにルーラは大興奮。
「ぬおーーっ!!」
ルーラが野獣のような声を上げる。
いやいや! 確かにルーラの気は引き付けてるけど、マロンはそれでいいのか!?
「ま、いっか」
私はすっかりマロンの乳に夢中になっているルーラの手を蹴りあげた。
カランカランとナイフが地面をすべり、転がっていく。
「し、しまった!」
慌てるルーラ。この隙に、モアは機敏な仕草でルーラの腕から逃げた。
「あ、待てこら!」
「チャーンス!」
私はモアを追いかけようとするルーラの動線を遮ると、勢いよく回し蹴りを放った。
「くらえ!」
ドスン!
蹴りを放つと、肉に足がめりこむ感触がした。
「ぐっ」
ルーラは膝をつき、苦しげにうめくものの、なんとか堪えている様子だ。
どうやらまたしても脂肪の塊が邪魔をしたようだ。
ひょっとすると攻撃がちょっと浅かったのかもしれない。
まあでも、次で決めてやる!
「じゃあ、これはどうだ!」
私はうずくまったルーラに思い切りかかと落としを決めてやった。
ドゴオオン!
私のかかとが、ルーラの後頭部に命中する。
体への攻撃は脂肪の塊で技の威力を吸収されてしまうが、流石に頭への守りは薄かったらしい。
これが決め手になり、ルーラは気を失い動かなくなった。
「ふう、どうやら決まったようだね」
私が額の汗をぬぐうと、モアが大喜びで拍手をした。
「お姉さますごーい!」
マロンも目をハンカチで押さえ涙ぐんでいる。
「無事にあいつを倒せて良かったです……!」
「マロンもありがとう。よく頑張った」
ルーラの気も引き付けてくれたし、スイカバストも見せてくれたしね。
私がマロンの肩に手をやり微笑むと、マロンの顔は見る見るうちに真っ赤になった。
「いっ、いえ! あ、あ、あれぐらい、何ともないですっ!」
パッと勢いよく私から離れるマロン。
マロンの顔はスイカのように真っ赤だ。
「いやだわ……私ったら……女の人相手にこんな……」
その様子を見ていたモアが、ぷうと頬を膨らませる。
「もう! お姉さまったら、また女の子をたらしこんでー!」
「たらしこんでないっ!」
私はなぜか必死に弁解をしたのだった。
まあ、いくら女の子をたらしこんでも、私は女に生まれ変わってしまったから、女の子と結ばれることは出来ないんだけどね。悲しいね。トホホ……。
ああ......なんで女なんかに生まれたんだか。まあ、ぼいんぼいんのバストが見れたからいいか。
「これでよし……っと」
私はルーラとガントを縄で縛ると、伝書鳩に警察への救援依頼をつけて放った。
「さて、女の子たちも開放したし、警察が来る前に金目のものでも漁っておくか」
「うんっ!」
モアが笑顔で同意する。
ちなみにだが、私たちが王宮から持ってきた資金は全て盗まれてる。あわよくばそれを回収したいという考えだ。
だが屋敷中を探し回ってもそれらしきものは全く見つからない。
もしかして、私たちの荷物や財布は食堂で出会ったあのチャラ男たちに盗まれたのだろうか?
「クソッ! お気に入りの財布だったのに!」
私は縄でグルグル巻きにされたルーラの胸元をまさぐると、金ピカに光る悪趣味なルーラの財布を抜き取った。
「しょうがない、これを旅の資金にするか」
そういうと、モアは手を叩いて喜んだ。
「わーい、お姉様、カツアゲみたい!」
……それ、喜んでいいのか?