「ケンムン」とは
奄美諸島に伝わる妖怪。
その顔つきは猿、または犬や猫に似て、
胴体と比べ手足が不釣り合いに長い。
頭には河童のような皿があるが、
そこに蓄えられているのは油だという。
人間は勿論、牛や馬、
植物にも化けることができ、姿を消して
外敵から逃げ去ることもある。
本来は穏やかな性格で
人間の薪拾いなどを手伝うなどの伝承が
語り継がれていたが、
時代を経るたびに
ケンムンはよく人を祟るようになり、
危険で忌避すべき
魔物と看做されるようになった。
とある僧が夜道を旅していたところ、
全く同じ外見をした
大勢の子供達に取り囲まれ、次々に
相撲勝負を挑まれたという。
生命の危険を感じた僧侶は
咄嗟に僧侶は魔よけの円を地面に描き、
その中に留まって身を守ったが、
子供達は夜明けまで金切り声で騒ぎ、
まるで生きた心地がしなかったという。
このように悪戯を仕掛けてくる
ケンムンを追い払うには、
苦手な蛸を投げつけるのが有効である。