「ヌカサリ絵馬」とは山形県の山村地方、
置賜地方で行われている民間信仰の一つ。
直接的には死者と架空の人物の
婚姻を描いた絵馬を指す。
ものによっては花嫁・花婿以外の人物、
媒酌人や参拝者の姿が描かれている。
いわゆる、「冥婚」であり、
未婚の死者を結婚させることによって
祖霊・神としての地位を与える
一種の通過儀礼である。
その際、「オナカマ」と呼ばれる
シャーマンに依頼して死者を呼び出し、
故人に婚礼の様子を聞くこともある。
ヌカサリ絵馬はバリエーション豊かで
プロの絵師による肖像画、
画用紙にクレヨンで描かれた稚拙なもの、
合成写真など多岐に渡っている。
ヌカサリ絵馬は
故人の冥福を祈るためのものであり、
死後の生活を描いているものである一方、
実在する生者を描くことは
「あの世に引きずり込まれる」ため、
禁忌だとされている。