目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報

第29話 ある冒険者の話 3

ダンジョンは異世界にとっても不思議な存在である。

ダンジョン自体が魔物とか、別次元に繋がっているとか・・・。

誠しなやかに冒険者の間では、語られている。


これは、ある冒険者の不思議な体験である。


彼らはA級ライセンスを持ち、数々のダンジョンを踏破した経験を持つベテランで有る。


今回も、ある小さなダンジョンを踏破した時、最下層の部屋の片隅に、小さな鍵穴が有る事を見つけた。

もしや、秘密の小部屋かと期待が仲間達の間に高まる。しかし、鍵穴に入るカギが無い。


扉をハンマーで叩き付けるが壊れない。

魔法使いか、色々な魔法をぶつけるが駄目だ。

盗賊が、カギ開けキッドを使うが、開く気配すら無い。

その後の数日間は、あの手この手を使うが無理であった。


名残惜しが手持ちの食糧が尽き欠け、リーダーの撤退宣言で町に帰る事となった。

帰り間際に剣士が、ふとした行動に出た。


ー ここから内容が変わります。ー

押してダメなら引いて見ると、意外にも扉が開くでは無いか。

一行は、恐る恐る中に入ると宝箱がひとつ置かれている。

宝箱に飛び付く仲間達。全員が部屋に入ると同時に閉まる扉。

「しまった。ワナか!」悔しいがるリーダーと扉を開けようとする仲間。しかし扉はびくともしない。


頭を抱えるリーダーを尻目に、宝箱を探る盗賊。

宝箱も開く気配すら無い。しかし妙な事に気付く。

宝箱の上部に穴を見つける。何かを入れれば良いのでは無いかと推測する。


最初に辺りの石ころを。変化無し。


意を決して、アイテムを。扉が少し振動するが、変化無し。


お金を入れる。扉が少し上がる。


「これだ!」確信を持つ盗賊。

皆と協議の末、お金を出しあって穴に入れると、入れた分だけ開く扉。


暫くすると、扉が開き彼らが出てきた。皆の顔色は冴えない。

「ちくしょう!持っていた金が全て無くなった。」

絶望の彼らの後で

「毎度あり!」と爽やかな声が響いた。


冒険者の間で、大笑いで伝えられた話題のひとつで有る。



この後、少し内容を替えて投稿します。


この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?