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第30話 ある冒険者の話 4

ダンジョンは異世界にとっても不思議な存在である。

ダンジョン自体が魔物とか、別次元に繋がっているとか・・・。

誠しなやかに冒険者の間では、語られている。


これは、ある冒険者の不思議な体験である。


彼らはA級ライセンスを持ち、数々のダンジョンを踏破した経験を持つベテランで有る。


今回も、ある小さなダンジョンを踏破した時、最下層の部屋の片隅に、小さな鍵穴が有る事を見つけた。

もしや、秘密の小部屋かと期待が仲間達の間に高まる。しかし、鍵穴に入るカギが無い。


扉をハンマーで叩き付けるが壊れない。

魔法使いか、色々な魔法をぶつけるが駄目だ。

盗賊が、カギ開けキッドを使うが、開く気配すら無い。

その後の数日間は、あの手この手を使うが無理であった。


名残惜しが手持ちの食糧が尽き欠け、リーダーの撤退宣言で町に帰る事となった。

帰り間際に剣士が、ふとした行動に出た。


ー ここから内容が変わります。ー

昔からの呪文 [ 開け~ゴマ! ] を唱えると、

ゴゴゴゴ~ォ 音と共に開く扉。


恐る恐ると中を覗き込むリーダー。

「いらっしゃいませ。」と元気な声が響く。

にこやかなオークが一匹。

警戒を深める仲間達にオークは、「店内での暴力は禁止です。狼藉者は排除します。」と流暢な言葉で応じる。

「大丈夫なのか。」恐る恐ると聞き返すリーダー。

「あなた方が紳士的なら、大丈夫ですよ。」と返すオーク。

「この中は店なのか?何を売っているのか?」とリーダーに

「アイテムの買い取りと販売です。販売内容は、[ スキルの巻物 ] [ 神級薬品 ] [ 神級の武器防具 ] となります。ほかでは手に入りませんよ。」


彼らは恐れながら店内に入ると、見たことの無い数々の品揃え。

「代金は、金貨で良いのか?」

「大丈夫ですよ。但し、条件かひとつ有ります。その条件を飲んで頂ければ、お売り致します。」

「条件て?」

「後ほど、会計の際にお話しします。楽しんでお買い物を。」


強力な武器や防具。

魅力的なスキルの数々。

失った過去の薬品

全てが王都でも入手不可能な品々

しかも価格は、十分に手の届く範囲内となれば、欲しくなるのが世の常喜びを隠し切れない仲間たち。


買い物が終了した。会計の際に提示された条件は、[ 誰かひとりが残ること ] 黙り込み辺りを見渡す仲間達。

沈黙が店内に漂う。


「俺が残ろう。」とリーダーの声。

驚きと安堵のため息。

「俺には、家族もいない。また待ってくれる人もいない。お前らは帰りを待っている人たちがいる。残るのは、俺が適任さ。副リーダー、後はお前に任せる。必ずや強くなってくれ。」

リーダーはオークに残る事を告げる。オークは頷き、冒険者たちを店内から追い出した。

突如の事に、我に帰った冒険者。

無情にも扉は閉まい、跡形も無なくなった。


突然の事でリーダーを失った冒険者たちは、急いでギルドへ。

事情と出来事を全てマスターに話て、急遽編成された救助隊と共にダンジョンに向かう冒険者。


時は立ち、手にした購入品の数々を持ち、リーダーと誓った冒険者は世界一と呼ばれる事となった。


冒険者の間で、今でもしんみりとして語り伝えられた話題のひとつで有る。

貴方ならどうしますか。



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