一粒の涙が頬を流れ落ちた。
長い戦いが、今終わりを告げた。
幾十かの戦いが有った。
幾百の村々が、焼かれた。
幾千の人々が倒れ、悲しき涙が国を濡らした。
頑強な魔王軍の攻勢に、王国軍は幾度と無く破れ、多くの士兵の命が失われた。
毎回の様に召喚しては、命を掛けた強者達も、再び帰らぬ人となった。
王国は疲弊し、民の生活も困窮している。
しかし、最後の召喚が、奇跡を呼んだ。
数人の若者が、魔王軍を蹴散らす度に歓声が上がり、やがて魔城に籠る魔王を倒す事で、悲しみと恐怖の時間は終わった。
王は喜びで涙を濡らす。
財務を預かる私は、これから起こる復興と勇者への恩賞を思うと涙が頬を濡らす。