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第61話 旅立ちのお祝い

「勇者殿。旅立ちの祝いに名剣を贈りましょう。」

「王様。ありがとうございます。必ずや、ご期待に添える結果を報告致しましょう。」


「宰相。あの鍛冶師は、どうかな?」

「あの男は、腕は良いのですが、癖が強すぎて 勇者殿では無理では無いでしょうか。」

「そうかやはりな。」

「王様。その鍛冶師は、どの様な方なのですか。」

「あやつの腕は、王国いち、いや、世界でも有数だが、癖が強すぎてなぁ。勇者殿でも難しいだろう。」

「王様。是非この鍛冶師を説得して、名剣を鍛えて頂きます。序盤から難敵を避けていては、目標を達成出来ません。紹介をお願い致します。」

「勇者殿の熱意を感じ取りました。頑張って下さい。」

「頑張って・・・?」


勇者は、鍛冶師の工房に向かった。

「頼みます。王様の紹介で参りました。是非とも私に剣を打って頂け無いでしょう。」

奥から強面のドワーフが顔出し、

「王から連絡が着ている。まぁ、座れ。」

「ありがとうございます。」


勇者と鍛冶師は、世間話から始まり色々な話題で会話が弾んだ


[ 顔は強面だが思ったより、話やすい方の様だ。癖が強いと言うが気に言って貰えた様だな。] 勇者は、安堵と共に喜びを感じた。

「鍛冶師殿。私に剣を打って頂け無いでしょうか。」

「いいよ。」鍛冶師は、すんなりと承諾する。

「ありがとうございます。」ほっと一息の勇者。

[ 癖が強すぎてと言うが、呆気無かったなぁ ] と思っていたが、


「勇者よ。剣の材料は、・・・。」

「材料の打ち込み温度が・・・。」

「あれが・・・。」

「これが・・・。」

・・・・・・・・・・・・。

材料の条件だけで一時間。

長さや重さで、数時間。

強さが・・・。

付与が・・・。

条件出しだけで時間が、過ぎていく。そして日にちが過ぎていく。


「今日も、行かなければ。憂鬱だ。」

彼処が違う・・・。

やり直して・・・。


「・・・。行くのもう、いや!」

未だに、剣にたどり着けない勇者。


勇者は、未だに魔王打倒に出発すら出来なかった。

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