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第62話 削除が決定したのに

「困ったはね。あんなに魔王が強くなりすぎるなんて・・・。どうしましょう。」


 女神の呟きに、天使が反応して、

「まだ、勇者様が頑張っておりますよ。」

「ええ。彼は、精一杯頑張ってます。ですが、聖女が亡くなって以来、本来はバックアップすべき王国は、絶望で自縛自棄。国内は混乱状態。パーティメンバーも自信喪失で解散寸前。まるで戦える状態では無い様ね。・・・あ~ぁ。最後の手段を使うしかないわね。」


「でも、女神さま。一度滅亡させると後片付けが大変で、次の世界構築まで数百年は魔力を貯めなければなりませんよ。」


「わかってるは、でも私どもは直接下界に手を出せないのよ。そして、下界が魔王の征服で悪に染まって往くのを見ていたく無いわ。それなら一層の事、全てを滅ぼして作り直した方を選ぶは・・・。ただ、勇者と一部の人々は、助けたいわね。  うーん。ねえ、勇者にコンタクトをとれないかしら。」


「わかりました。勇者にコンタクトを取ってみます。」


 勇者の夢に現れた女神と天使は、早速にこの世界の現状を嘆き、滅ぼす決意をした事を話した。ただ、勇者と一部の人々は助ける事を伝えると、勇者は驚き、涙ながらに訴える。


「確かに今の王国は、救い難い程に乱れており、滅亡もやむ無しと考えるが、一年だけ待って欲しい。それまでに魔王を倒せなければ従います」と答えた。


「わかりました。一年だけ待ちましょう。但し、貴方との連絡係として妖精を着けます。何か有ったら、妖精を通して連絡を下さい。」

「女神さま。ありがとう御座います。」


 女神は約束はしたが、その間の下界を見ている気持ちは薄れ、次第に神界テレビの視聴は無くなり、他の事で気を紛らわしていた。


 勇者は、魔王倒す事のみを考えて、日々鍛錬を強いていた。

妖精からは、ときより 鍛錬の傍らで、妖精に聖女との昔の話をするとの報告が天使の元に入って着ていた。


それから、一年の月日が流れた頃、天使の元に 【魔王が倒れた】との報告が入った。

詳しく内容を聞くと、勇者は自らの命と引き換えに魔王を倒したとの報告だった。


天使は、直ぐに妖精に確認をとった。

妖精からは、

勇者は自分の力の無さに嘆く毎日だったこと。

聖女の愛した世界を守れない悲しさ。

彼女の守りたかったこの地を救えない悔しさと不甲斐なさ。

そして、その日はある決意を固めて旅立った事。

が告げられた。


天使は、急ぎ女神へ報告した。

【勇者が命を懸けてこの地を、否、彼の愛した人の願いを守った事を】






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