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第75話 人生はわからないもんだ

王国辺境の一角で古き墓が発見された。


この地には、かつて勇者が貴族として領していたとの言い伝えが残っている事から [ 勇者の墓 ] では無いかと王国中は、期待が沸き上がっていた。

しかし、墓じたいはとても質素でシンプルな物であるが、庶民は共同墓地に葬られる事から見れば独立した墓を持つ人物に期待が高まる。


発掘結果から墓は、前王国の頃と推測され、今から数百年は経っていると考えられた。

墓の内部は、墓所と身の回りの品そして大量の書物が有ることが確認された。しかし、言語が読めない事から、召喚者まさしく勇者と断定された。


早速、王国中から英才が集められて、文字の解読が開始される。


数年の時を経て、解読された内容は、数々の勇者の冒険談と確認される。

王国としては歴史的価値を見受けられないと判断したが、勇者の冒険談を知りたがる王国民の声に負け、公表する事となった。


たちまち、勇者の数々の冒険談に人々は魅了され、王国のみならず世界中に広まる事となる。


人々は、冒険談にハラハラどきどきして、劇場での公演も行われ、世界的大ヒットとなった。

だが、歴史学者から過去の文献を調べても、これほどの勇者が文献に残っていない事から、疑問視されてはいるが、熱狂的声の前では無意味な事だろう。


墓の主は、あの世で驚いていた。

かって某底辺投稿者が召喚された異世界で勇者の活動も録にせず、書き留めた小説が、異世界で大ヒットしたことに。



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