明るく暖かな光を浴びて、静かにそして確実に芽を伸ばす花ばな。
異世界の草原に密かに小さな花を咲かせ、可憐が一際似合っている。
「小さく丸い花弁。」
旅人は、その花の健気さに迷い、
「薬用に有能な依頼品」
冒険者は、その葉っぱの効能に喜ぶ。
「香りは、辺り四方を風で漂い」
動物は、その香りに酔い知れて、
「甘く完熟な味」
魔物は、その実の美味しさに歓喜する。
人を動物を魔物さえも、虜にする魅力は、魔力を絶えずまとわり着かせて、遠くから更に遠くから呼び寄せる。
抗い難い [ 魔性の花 ] と人は呼ぶ。
花に引き寄せられた者は、その健気さに、その効能に、その匂いに、その美味しさに、気になり愛でる。
そして、ガバッーと大きな口に飲み込まれる。そう、一瞬で。
異世界の花は、やはり [ 魔性の花 ] と言う魔物なのです。
今日も何処かで獲物を呼び寄せているのでしょう。