臨終間際の王。
皇太子を始め王族を呼び集めた。
「皇太子よ。これから、話すことを決して忘れてはならない。」
「はい。」
「王になるには、資質が必要で有る。
まず、最初に、慈悲の心。王国民を慈しみ、愛せよ。
次に、威厳を持て。貴族達に対しては、威厳で抑え、かつ頼られる存在となれ。
最後に演技者となれ、これは決して忘れるな。王国の危機に必ず、異世界からの勇者召喚が必要となる。その際に、王国の窮状を如何に訴えて同情を引く為の演技力を持て。なお、勇者の中には情では無く、金や女に靡く者もいる。それを演技の中で見極めろ。
そして、これから話す事を王族全てが忘れるな。
一つは、無能者を切り捨てるな。召喚者の中には、希に低能力、スキル無しが居る。その者に対して、決して傲るな。殺すな。歴史書には、その者達は、神に愛されて、[ ざまぁ気質 ] なるものを与えられる。此れにより多くの王国が滅ぼされている。決して無能者を切り捨てずに城で飼い殺しにしろ。」
「はい。承知しました。」
「次に、王女よ。勇者に嫁ぐ為に、愛せよ。誘惑せよ。決してそなたから離れない様にせよ。勇者は戦力であり、兵器でもある。他国に渡れば脅威となり、失えば王国の衰退となる。決して、元の世界に帰すな。ただし、王国に災いを起こす時は、油断させて、殺せ。失敗したら、勇者を新たな魔王決め、次の勇者を召喚して倒せ。
私は疲れた後は頼んだ。」
そして、王は死んだ。
王国のその後は次の王の資質で決まるだろう。