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第4話 畑



 アリスが目を覚ますと、もう日が昇っていた。


「寝過ぎちゃったかしら?」


 アリスはそう言うと、窓から外を見た。



「良いお天気。今日は畑を見に行きましょう」


 アリスはパンとチーズで簡単な朝食を済ませると、祖母の日記に書いてあった畑があった場所に移動した。



「あら、井戸があるわ。おばあさまはきっと、ここで水をくんでいたのね」


 畑は雑草が伸び放題で、ただの荒れ地のようだった。


「しかたないわね、草を抜いて畑を耕さなきゃ」


 アリスは屋敷の土間にあった、鍬を振り上げる。



「もう雑草の根が張っていて中々耕せないわ」


 アリスはため息をついた。


「ちょっとごめんね、草たち、枯れて頂戴」


 アリスがそう言って地面に手を触れると、元気良く生えていた草がみるみると萎れて枯れて行った。



「これで、土地が耕せるわ」


 アリスは鍬で土を掘り起こし、森の土を混ぜて畑の土を軟らかくした。


「おばあさまが遺して下さった種が色々あるから少しずつ、まいてみましょう」


 アリスはそう言って、トマトやひまわり、なすやトウモロコシの種をまいた。



「今からお水をあげますよ」


 アリスは種の上に軽く土をかけたあと、水をあげた。


「……」


 アリスが大地に両手をつけて、話しかける。


「さあ、大きく育ちなさい」



 すると、今まいたばかりの種から芽が出て、蔓が伸び花が咲き、実がなった。


「やった。これで今日の食事も何とかなりそうね」


 アリスは出来たてのトマトやなす、トウモロコシやひまわりの種を収穫すると屋敷に戻っていった。


「ひとりは寂しいけど、木や花と話をしていれば大丈夫よね」


 そう言ってアリスは森をじっと見つめていた。



 しばらくすると、屋敷の周りに人の気配がするのにアリスは気がついた。


「どちらさまですか?」


 アリスはドアのチェーンをかけたまま、扉を開けた。



「あの、緑の魔女様ですよね? ケリーと申しますが、うちの子が熱を出してしまって。 薬を分けて下さいませんか?」


「まあ、大変! どうぞ、ちょっと待って下さいね」



 アリスはエルバの町のイル・ケリーとまだ幼い男の子を屋敷に招き入れた。


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