「きゃあっ!」
アリスは叫んだ。
家の傍で、何か大きな生き物らしきものが動いたからだ。
「って、あら? 貴方は……」
アリスがそっと目を開けると大きな白い蛇が、しげみから現れた。
「まあ、お久しぶりですね。私のことを覚えてるかしら? 私のおばあさまのお友達の白蛇さんですよね?」
大きな蛇はアリスの前でとぐろを巻いている。
「どうしてこんな所にまで来たのですか? 今は魔物のうわさで持ちきりですよ? 貴方が魔物と間違われたら大変ですよ?」
アリスは白蛇の頭を撫でながら言った。
「あら? 怪我をしてるの? ちょっと待ってね」
アリスは怪我をした白蛇に薬草で作った薬を塗っていると、遠くから声をかけられた。
「アリスさん! 大丈夫ですか!?」
「ブルーノ様!?」
アリスは白蛇をかばうようにして、ブルーノの方を見た。
ブルーノはアリスに駆け寄ると、白蛇に剣を向けた。
「止めて下さい! ブルーノ様! この子はおばあさまの友人です!」
「え? この大きな白蛇が!?」
アリスは白蛇に言った。
「家に帰りなさい。ここは危ないわ」
白蛇は茂みの中に戻っていった。
「アリスさん、白蛇は魔物では無かったのですか?」
「ええ。おばあさまが居た頃あの白蛇は、よく庭でひなたぼっこをしていたんですよ」
アリスはブルーノにそう言うと、心配そうに白蛇の消えたしげみを見つめていた。
「魔物に追い出されてしまったのかしら?」
「アリスさん、森に入るときは十分注意して下さいね」
「はい」
「あと、今日はクリスマスイブですからいつものお礼にご馳走を持ってきました」
「ありがとうございます、ブルーノ様」
ブルーノはクリスマスのご馳走をアリスにプレゼントすると、町に帰っていった。
「こんなに食べられるかしら? ブルーノ様も食べて行ってくれれば良かったのに」
アリスは一人になると、かごに入れられたご馳走を眺めて呟いた。