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第8話 訓練II

共同生活も2人から3人になり、賑やかになった。

特に桜花は年上のお姉さんができて嬉しそうだ。


「よし、今日は、イボンヌの歓迎会ということで、ご馳走を作ろう。」

「ごちそう!やったー!」

「あたしも、手伝おうか?」

「いや、イボンヌは主役だから、座って待ってて。自慢の料理をごちそうするよ。」


それから、数時間後。


「また、カレー?。」

げんなりして桜花が言う。

「あたしは大丈夫だよ。スパイスの香りがして美味しそうだ。」

「どうぞどうぞ。遠慮しないで食べて。」

僕は、満面の笑みでおもてなしをした。

約1名は不満のようだが。

「うん、これ、うまいよ!!」

イボンヌが美味しそうにカレーを食べてくれる。

「元の世界には無いものだからね。旨いだろう?この世界のものも。」

「私は、もう良いです。。。モックバーガーが食べたい。。。」

桜花は、修行が足りないようだ。

これから3日はカレーが続くぞ。

沢山作ったから。


イボンヌの歓迎食事会が終わって、僕らはリビングでくつろいでいた。

何となくテレビをつけていたら、妙なニュースが入ってきた。


『〇×県内で、スリによると思われる窃盗被害が相次いでいます。警察によると、この1週間で数十件のスリ被害が発生しており。犯人は人数も含めて不明です。警察は防犯カメラの映像の解析を進めており・・・。』


「スリだって。一週間で数十件ってすごいね。」

桜花は興味津々だ。

「この世界ではスリなんて珍しくないよ。」

僕は、別に関心がなかったが、気になるとすれば、その件数だ。

実行犯が一人なら数が多すぎる。

しかも、都会ではなくこんな地方で。

「どこの世界にも泥棒はいるんだねぇ。」

イボンヌが感心しながら言う。確かに、元の世界にも泥棒はいた。スキルを正しく使えば『シーフ』として冒険者になれるのに、堕落して身を堕とす者が一定数はいたのだ。

「シーフ、か。」

何か引っ掛かるものを僕は感じていた。




翌日から、イボンヌと3人での鍛錬が始まった。

僕と桜花は、引き続き、魔力強化と魔法の精度を高める訓練。

イボンヌは、体力強化と射的の精度を高める訓練。

日本に装備やアイテムは無いから、自分の体を強化するしかないのだ。


そして、体力強化には、栄養満点の食事も必要だ。

今日も僕が自慢の料理を振る舞う。

元の世界では、勇者ユウも僕の料理を褒めてくれた。

どんな食材でも美味しく出来る自信がある。

「また、カレー!?」

「また、カレー!?」

桜花とイボンヌの声がシンクロした。

「文句を言うな。カレーは栄養たっぷり具沢山の最高の料理だぞ。前も言ったけど。」

「でも、もう5日連続。」

「でも、もう5日連続。」

また2人の声がシンクロする。

「カレーは5日目が一番美味しいんだ!!」

「前は、3日目って言ってなかった?」

桜花がツッコむ。

「とにかく、食え!」


さすがに、5日連続はやり過ぎた。

明日は別の料理にするか。。。

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