共同生活も2人から3人になり、賑やかになった。
特に桜花は年上のお姉さんができて嬉しそうだ。
「よし、今日は、イボンヌの歓迎会ということで、ご馳走を作ろう。」
「ごちそう!やったー!」
「あたしも、手伝おうか?」
「いや、イボンヌは主役だから、座って待ってて。自慢の料理をごちそうするよ。」
それから、数時間後。
「また、カレー?。」
げんなりして桜花が言う。
「あたしは大丈夫だよ。スパイスの香りがして美味しそうだ。」
「どうぞどうぞ。遠慮しないで食べて。」
僕は、満面の笑みでおもてなしをした。
約1名は不満のようだが。
「うん、これ、うまいよ!!」
イボンヌが美味しそうにカレーを食べてくれる。
「元の世界には無いものだからね。旨いだろう?この世界のものも。」
「私は、もう良いです。。。モックバーガーが食べたい。。。」
桜花は、修行が足りないようだ。
これから3日はカレーが続くぞ。
沢山作ったから。
イボンヌの歓迎食事会が終わって、僕らはリビングでくつろいでいた。
何となくテレビをつけていたら、妙なニュースが入ってきた。
『〇×県内で、スリによると思われる窃盗被害が相次いでいます。警察によると、この1週間で数十件のスリ被害が発生しており。犯人は人数も含めて不明です。警察は防犯カメラの映像の解析を進めており・・・。』
「スリだって。一週間で数十件ってすごいね。」
桜花は興味津々だ。
「この世界ではスリなんて珍しくないよ。」
僕は、別に関心がなかったが、気になるとすれば、その件数だ。
実行犯が一人なら数が多すぎる。
しかも、都会ではなくこんな地方で。
「どこの世界にも泥棒はいるんだねぇ。」
イボンヌが感心しながら言う。確かに、元の世界にも泥棒はいた。スキルを正しく使えば『シーフ』として冒険者になれるのに、堕落して身を堕とす者が一定数はいたのだ。
「シーフ、か。」
何か引っ掛かるものを僕は感じていた。
翌日から、イボンヌと3人での鍛錬が始まった。
僕と桜花は、引き続き、魔力強化と魔法の精度を高める訓練。
イボンヌは、体力強化と射的の精度を高める訓練。
日本に装備やアイテムは無いから、自分の体を強化するしかないのだ。
そして、体力強化には、栄養満点の食事も必要だ。
今日も僕が自慢の料理を振る舞う。
元の世界では、勇者ユウも僕の料理を褒めてくれた。
どんな食材でも美味しく出来る自信がある。
「また、カレー!?」
「また、カレー!?」
桜花とイボンヌの声がシンクロした。
「文句を言うな。カレーは栄養たっぷり具沢山の最高の料理だぞ。前も言ったけど。」
「でも、もう5日連続。」
「でも、もう5日連続。」
また2人の声がシンクロする。
「カレーは5日目が一番美味しいんだ!!」
「前は、3日目って言ってなかった?」
桜花がツッコむ。
「とにかく、食え!」
さすがに、5日連続はやり過ぎた。
明日は別の料理にするか。。。