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第24話 不安

エルドランドと呼ばれる異世界。


ドラゴニアの戦いで、光竜を倒し勇者の称号を得た戦士ユウのパーティは、もう一体の四天王・水竜と戦うため、湖に向かっていた。


「ユウ、水竜の住処まで、もうすぐだな。」

「コウは、戦いたくてウズウズしてるんじゃないか?」

「もう、ザコ相手は飽きたよ。強い奴と戦いたい。」

ユウもコウも、やる気満々だ。

「私の仕事が増えるから、あまり無茶はしないでね。」

オウカが2人を嗜める。

「オウカ、わかってるよ。無茶はしない。」

ユウくんがこたえた。

水竜が相手なら、僕の炎の魔法が有効なはずだ。僕の一番得意とする魔法だから、今から腕がなる。

「さっきから、ハックは何も言わないな。緊張してるのか?」

コウにいじられる。

「武者震いしてるんだよ。僕の炎の魔法の威力が見せられるから。」

「なんて言ったって、大魔法使い様だもんな。」

なんか、馬鹿にされてる気がする・・・。

湖の畔に、洞窟の入り口を見つけた。

どうやらここに水竜がいるようだ。

「闇を照らせ。ライト!」

オウカが魔法で洞窟の中を照らす。

僕らは洞窟の中に足を踏み入れた。

洞窟を奥まで進むと、広い場所に出た。

天井もかなり高い。すると、奥の方に2つの光る眼が見えた。

グォォッ!!

水竜だ!

「我が名は、ウォータードラゴン。お前らは人間か?」

「そうだ!僕は勇者ユウ!お前を倒しに来た!」

「ハハハハハ!人間ごときが何を言うか!返り討ちにしてくれる!」

そう言うと、水竜は口から激しく水の矢を噴出した。

僕らは、水の矢を避ける。

ユウとコウが水竜に切りかかる。

「強化せよ!エンパワー!」

「炎よ、出でよ!インフェルノ!」

オウカの攻撃強化魔法と僕の炎の魔法が炸裂する。

グサッ!

水竜の固い皮膚に勇者ユウの剣が突き刺さる。

ズシャッ!

戦士コウの攻撃も効いている。かなり深い傷を付けた。

ゴォー!!

僕の炎の魔法で水竜の体が燃え上がる。

「人間ごときに、こんな力が!!」

勇者ユウは、攻撃の手を緩めず、何度も切りつける。

流石の水竜も弱っている。

戦士コウの剣が、水竜の胸に突き刺さった。今だ!

「炎よ、出でよ!インフェルノ!」

炎が水竜の胸に直撃する。そして、

ウォーッ!

「これでも喰らえ!」

ザンッ!!

勇者ユウが、水竜の首を切り落とした。

僕らは、水竜に勝利した。

「やったな。ユウ。」

「ありがとう。コウ。」

「今回も、ユウくん、かっこ良かったね。」

「ユウくん、流石だよ。」

僕らは水竜の首を持って、都に凱旋した。

これで、四天王を2体倒した。あと2体。

そして、その先には魔王がいる。

この世界の平和に、また一歩近づいた。

「どうしたの。ハック。浮かない顔して。」

オウカは鋭い。

「いや、どうしても不安が消えないんだ。このままじゃ済まない気がして。」

「そうだね。この先はきっと簡単じゃない。でも、私たちは勇者とその仲間。先に進まなくちゃ。」

「オウカは強いな。」

「そんなことないよ。私だって怖い。平気なふりしてるだけだよ。」

「そうか。僕はどうしても仲間を失うのが怖いんだ。」

「でも、怖さや不安は強さの裏返しだと思うよ。大魔法使いハックは、そんなことでは負けない。」

「はは。そうだな。僕がオウカたちを守ってやる。」

「そうじゃなきゃ。ハックは。」

オウカには、いつも背中を押される。


こんな時に、伝説の先代勇者ノアがいれば、どう切り抜けただろう?

ユウくんもきっとノアの助言が貰いたいはずだ。

魔王を封印し、そのまま消えた勇者ノア。

今も何処かで生きているのだろうか?


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