僕らは先へ進んだ。
足を踏み入れた先は、異空間のようだった。何もない空間に、石畳の通路が伸びている。その通路の先は眩しく光っている。
僕らは通路を進んだ。しばらく進むと、黒衣の男が玉座に座っていた。その脇には、人が入るほどの鉄格子に閉じ込められた桜花がいる。
「桜花!」
「ハク!」
桜花は拷問などは受けていなさそうだ。
「お前がミカエルか!」
僕は、怒りを込めて叫んだ。
「いかにも、私が魔王ミカエルだ。よくぞここまで来たな。」
「お前の目的はなんだ?」
「私の目的は、世界を混沌で支配すること。桜花はその為の道具に過ぎない。女神やお前達のような輩に手を焼いてはおれんからな。」
「桜花を返せ!」
「返しても良いが、それは私を倒してからだ。」
「ミカエル、お前は本当に嫌なやつだな。」
「イブ。とうとう自ら戦う気になったか。」
「本当は、お前の顔も見たくないんだ。ぼくは。」
「ちょうどいい。女神もろともこの世界を消し去ってくれる。」
僕らは戦いに備え身構えた。
魔王ミカエルが吼える!
「さあ、ゆくぞ!覚悟しろ!」
「強化せよ!リインフォース!エンパワー!」
「炎よ、出でよ!インフェルノ!」
炎がミカエルに襲い掛かる。ミカエルの体が燃え上がるが、効いていないようだ。
「雷よ、纏え!」
シュー!ビシビシッ!
イボンヌの矢はミカエルに当たる直前に落ちてしまう。
「影走り!」
その隙にロックが、桜花の救出に向かう。鍵を壊し、桜花の救出に成功した。
「ロック、ありがとう。」
「へへ。おいらも役立つだろう?」
「桜花!無事でよかった。」
「桜花、ぼくと一緒に。」
桜花のことはイブに任せて、僕たちはミカエルの相手だ。
「ぐぬぬ。桜花を奪い返されるとは。まあ良い。桜花の力など必要ない。お前らはここで死ぬのだからな。」
「そうはさせない!」
「死ね!ライトニング!ダークネス!」
光魔法と闇魔法が同時に!
「ぼくに任せろ!バリア!」
間一髪、イブのバリアが魔法を防ぐ。
しかし、ミカエルが魔法を連続して放ってくる。バリアもいつまでもつか分からなくなってきた。
「炎よ出でよ!インフェルノ!」
炎がミカエルに飛んでいくがあっさりと打ち消される。
このままでは、押される一方だ。マズイぞ。
その時、勇者ノアの言葉が頭に過ぎった。
【魔王の弱点は、光と闇の間『狭間の力』だ。それを探せ。】
『狭間の力』、、、光と闇の間、、、、混沌(カオス)、、、
そうか!
僕は、ある結論に達した。これでダメなら、僕らは死ぬ。
「さて、そろそろとどめを刺させてもらうぞ。」
ミカエルがそういうと、魔法の力が一段階上がった。
バリアももう危ない。
「ウワー!もう、無理だ!」
ロックとイボンヌが弱気になっている。
「僕に任せろ!」
最後の手段だ。これにかける!!
まず右手をかざす。
「光よ、出でよ!ライトニング!」
そして左手をかざす。
「闇よ、出でよ!ダークネス!」
ここからだ。右手と左手を合わせる!!
「狭間の力よ!開け!ドーントワイライト!!」
クッ、体が引き裂かれそうだ。ハクッ、耐えろ!
「こ、これはっ!狭間の力!?グァー!負けるものか!」
ミカエルは、必死に耐えている。
クソーッ!もう少し。僕に力があれば!!
「ハク!ぼくに任せろ。強化せよ!リインフォース!!」
イブの強化魔法で、僕の魔力が上がった。
「いけーーーーーーーっ!!」
「私は魔王だ!こんなことではやられんぞ!グヌァーーーーーーーー!!」
「まだだ、いけーーーーーーっ!!」
「そ、そんな、馬鹿なっ!!」
僕のドーントワイライトが、魔王ミカエルの両手を弾き飛ばした。
グワー!!
ミカエルの体が見る見るうちに小さく折り畳まれていく。
そして、小さな黒い穴に吸い込まれて、消えた。
はぁ、はぁ、はぁ・・・勝った、のか?
僕は、その場に座り込んでしまった。
「よくやった!ハク!ミカエルは消滅した!」
イブが桜花と一緒に駆け寄ってきた。
「流石、ハクだ!すごいよ!勝ったんだ!」
イボンヌは涙声だ。
「おいら、もうダメかと思ったぞ。」
ロックも安堵の表情を浮かべている。
「ハク。カッコよかったよ。」
桜花がほほ笑んだ。
さあ、みんな、帰ろうか。
最強パーティの凱旋だ。