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第28話 決戦

僕らは先へ進んだ。

足を踏み入れた先は、異空間のようだった。何もない空間に、石畳の通路が伸びている。その通路の先は眩しく光っている。

僕らは通路を進んだ。しばらく進むと、黒衣の男が玉座に座っていた。その脇には、人が入るほどの鉄格子に閉じ込められた桜花がいる。

「桜花!」

「ハク!」

桜花は拷問などは受けていなさそうだ。

「お前がミカエルか!」

僕は、怒りを込めて叫んだ。

「いかにも、私が魔王ミカエルだ。よくぞここまで来たな。」

「お前の目的はなんだ?」

「私の目的は、世界を混沌で支配すること。桜花はその為の道具に過ぎない。女神やお前達のような輩に手を焼いてはおれんからな。」

「桜花を返せ!」

「返しても良いが、それは私を倒してからだ。」

「ミカエル、お前は本当に嫌なやつだな。」

「イブ。とうとう自ら戦う気になったか。」

「本当は、お前の顔も見たくないんだ。ぼくは。」

「ちょうどいい。女神もろともこの世界を消し去ってくれる。」

僕らは戦いに備え身構えた。

魔王ミカエルが吼える!

「さあ、ゆくぞ!覚悟しろ!」

「強化せよ!リインフォース!エンパワー!」

「炎よ、出でよ!インフェルノ!」

炎がミカエルに襲い掛かる。ミカエルの体が燃え上がるが、効いていないようだ。

「雷よ、纏え!」

シュー!ビシビシッ!

イボンヌの矢はミカエルに当たる直前に落ちてしまう。

「影走り!」

その隙にロックが、桜花の救出に向かう。鍵を壊し、桜花の救出に成功した。

「ロック、ありがとう。」

「へへ。おいらも役立つだろう?」

「桜花!無事でよかった。」

「桜花、ぼくと一緒に。」

桜花のことはイブに任せて、僕たちはミカエルの相手だ。

「ぐぬぬ。桜花を奪い返されるとは。まあ良い。桜花の力など必要ない。お前らはここで死ぬのだからな。」

「そうはさせない!」

「死ね!ライトニング!ダークネス!」

光魔法と闇魔法が同時に!

「ぼくに任せろ!バリア!」

間一髪、イブのバリアが魔法を防ぐ。

しかし、ミカエルが魔法を連続して放ってくる。バリアもいつまでもつか分からなくなってきた。

「炎よ出でよ!インフェルノ!」

炎がミカエルに飛んでいくがあっさりと打ち消される。

このままでは、押される一方だ。マズイぞ。

その時、勇者ノアの言葉が頭に過ぎった。

 【魔王の弱点は、光と闇の間『狭間の力』だ。それを探せ。】

『狭間の力』、、、光と闇の間、、、、混沌(カオス)、、、

そうか!

僕は、ある結論に達した。これでダメなら、僕らは死ぬ。

「さて、そろそろとどめを刺させてもらうぞ。」

ミカエルがそういうと、魔法の力が一段階上がった。

バリアももう危ない。

「ウワー!もう、無理だ!」

ロックとイボンヌが弱気になっている。

「僕に任せろ!」

最後の手段だ。これにかける!!

まず右手をかざす。

「光よ、出でよ!ライトニング!」

そして左手をかざす。

「闇よ、出でよ!ダークネス!」

ここからだ。右手と左手を合わせる!!

「狭間の力よ!開け!ドーントワイライト!!」

クッ、体が引き裂かれそうだ。ハクッ、耐えろ!

「こ、これはっ!狭間の力!?グァー!負けるものか!」

ミカエルは、必死に耐えている。

クソーッ!もう少し。僕に力があれば!!

「ハク!ぼくに任せろ。強化せよ!リインフォース!!」

イブの強化魔法で、僕の魔力が上がった。

「いけーーーーーーーっ!!」

「私は魔王だ!こんなことではやられんぞ!グヌァーーーーーーーー!!」

「まだだ、いけーーーーーーっ!!」

「そ、そんな、馬鹿なっ!!」

僕のドーントワイライトが、魔王ミカエルの両手を弾き飛ばした。

グワー!!

ミカエルの体が見る見るうちに小さく折り畳まれていく。

そして、小さな黒い穴に吸い込まれて、消えた。

はぁ、はぁ、はぁ・・・勝った、のか?

僕は、その場に座り込んでしまった。

「よくやった!ハク!ミカエルは消滅した!」

イブが桜花と一緒に駆け寄ってきた。

「流石、ハクだ!すごいよ!勝ったんだ!」

イボンヌは涙声だ。

「おいら、もうダメかと思ったぞ。」

ロックも安堵の表情を浮かべている。

「ハク。カッコよかったよ。」

桜花がほほ笑んだ。


さあ、みんな、帰ろうか。

最強パーティの凱旋だ。

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