突然ガラガラーッという音と共に、
いや、落ちてきたのは天井だけじゃありません。
もちろん、あの二人も一緒です。
「……あいてて」
「ううむ」
ウメをもっとよく見ようと、同じ穴からのぞきこんだのがいけなかったんでしょうね。
うすっぺらい天井板では、とてもじゃありませんが、大の男二人を支え切れなかったんです。
まっ白い土けむりがもうもうとまい上がる中、閻魔大王はわけもわからずゴホゴホむせこんでます。
鬼たちはというと、そこいらにある
みっともないったらありゃしません。
そんな中、カエルみたいに
でもそんな
「大王様、ワシらはウメの夫亀八と、せがれのぼん太でごぜえます。悪いこととは知りながらも
亀八がしっかりと閻魔大王を見すえて言いますと、ぼん太もすぐあとに続きます。
「どうか大王様のお
ぼん太は床に
そんな二人を横目で見ながら、閻魔大王はまだ体についたホコリを、
そしてウメはといいますと、亀八とぼん太の登場に思わず涙しておりましたが、すぐに二人の横に並んでひざまずき、深々と頭を下げました。
「大王様、夫とせがれはこの通り、根はやさしく正直もんでごぜえます。そんな二人が地獄へ送られ、さらに罰まで加えられるのであれば、天下にとどろく大王様のお裁きにも傷がつきますだ。ここはどうか正しいご
閻魔大王はしばらくの間、口をへの字に曲げだまりこんでおりましたが、うなり声のようなため息をついたあと、ようやく口を開きました。
「まったく、そろいもそろって
それを聞いて、三人は顔を見合わせました。
三途の川を逆に渡るということは、もう一度、生き直しても良いってことなんですからね。
しかしそんなことを
それを
「大王様、何をおっしゃいます。それだけは断じてなりませぬ。そんなことしたら生き死にのケジメがつかなくなってしまいますぞ」
しかし閻魔大王が、そんな
「何だと。おぬし、このワシに口ごたえしようってのか!」
「……いえいえ、めっそうもございません、はい」
緑鬼はあまりの
亀八はそのやりとりに
「ありがとうごぜえます。本当にありがとうごぜえますだ」
ウメとぼん太も小
すると照れ隠しでしょうかねえ。
閻魔大王はフンとそっぽを向いたまま、
「ええい、便所のハエみたいに手をこすり合わせやがって。目ざわりだからとっとと消えろぃ!」
そうして本当にうるさいハエでも追っぱらうみたいに、シッシと何度も手をはらってみせるのでした。
鬼たちの方もこんなことは初めてですから、どうしたもんかとしばらく戸
「ってことだからよ、お前ら三人、ちょっくら体を丸めてみろや」
三途の川に連れもどされる姿を、ほかの亡者たちに見られるわけにはいきません。
そこで黒鬼はどこから持ってきたのか、でっかい
「わーっ、おもしれえ!」
「ワッショイ、ワッショイ!」
「バカ、祭りじゃねえよ」
「何だか楽しくなっちまって、つい」
「じゃあ、あっちの
「いや、亡者がいないのはこっちだ」
「おう、それで二
「そっから三途の川まではすぐだから歩いていかせりゃいいや」
「ガッテン!」
鬼たちは口々に言い合いながら、三人を楽しそうに運び出していきました。