「あれよ、装備を付けてもかっこ良くならないわ」
「ほっといてくれよ、ヒカリちゃん」
胴丸とか籠手とか脚絆とかを付けていくとゴテゴテして重いなあ。
鏡で見ると、なんだか野暮ったいね。
シュッとしたDチューバーな配信冒険者像とはほど遠い。
「武器はどういたしますか、ヒデオさま」
「うーん、どうしようか」
「片手剣と小盾で」
「そうね、とりあえずオーソドックスな感じにしましょうか、いきなり槍を持たされても困るだろうし」
「三階でお爺ちゃんが武道を教えてくれる教室やってたわね」
「うん、ヒデオ行ってみない」
「迷宮の初心者相手に武道を教えているのかあ、偉いお爺ちゃんがいるね」
女悪魔さんの出してくれた、片手剣と小型の盾を装備した。
うーん、なんだろう、バイキングって感じ?
ビッケのお父さんの子分みたいな。
「まあ戦いはおいおい覚えて行けば良いと思うわよ」
「そうですね、ゴリちゃんたちもいるし」
『ウホウホ』
『ウホウホ』
透明ゴリラ達で金儲けをするのは抵抗があるんだけど、まあしょうがないか。
迷宮にはぴったりの能力な気がするしね。
装備のお金はミキちゃんがDカードで払ってくれた。
ありがとうね。
後で高橋社長から貰うそうだ。
「ちょっと下を覗いていこうよ、武道お爺ちゃん居るかもだし」
「そうね、ちょっと行ってみましょうか」
「ヒデオさんと動きを合わせないとなりませんからね」
「じゃあ、行こうか」
狩りをすると儲かるから良いんだよね。
階段を降りて、二階のレストラン街を抜けて、三階へとおりる。
やっぱりどう見ても野外なんだよなあ。
頭の上には青空が広がっているし、草原はどこまでも広がっているし。
子供や老人とか、まったりと楽しんでいるかんじ。
公園の感じだね。
ふよふよとカメラを持った小さな羽の生えた女の子が現れた。
あ、君は昨日いたね。
『サザンフルーツ』の三人にも、それぞれピクシーさんたちが着いた。
「君は、俺の専属のカメラの子なの?」
聞いて見ると、ビキニの女の子はコクコクとうなずいた。
「そうかー、今日もよろしくね」
またコクコクとうなずいた。
喋れないけど、交流は出来るんだなあ。
「ふふ」
「なに、ミキ?」
「山下さんが居るより、野末さんが居るよりも、ヒデオさんが居る方がずっと安心出来るのは不思議よね」
「ああ、それはあるね、親戚の駄目おじさん風味というかー」
「人柄がほんわかしてますものね~」
あはは、あんまり褒めてはいけないぞ、おじさんはすぐ調子にのるからね。
三階に出る魔物は、スライムとか角の生えた兎とかだね。
とりあえず、兎を剣で倒そうとしたのだけれど、空振りが多いなあ。
角で刺されそうになったが、ゴリ次郎がつまみ上げて潰してくれた。
「ありがとうね」
『うほうほ』
「『青い空に白い雲~~♪ 遙か遠くの地平線~~♪ 夢に向かって力強く歩こうよ~~♪』」
「お、おおお? ミキちゃんの歌を聴いていたら元気が出たよ、なにこれ」
「いえ、呪歌ですから」
『ヒデオは何もしらないなあ』
おっと、ミキちゃんの手首の上のスクリーンに字が走るのが見えた。
ええと、俺も貰ったから、ここを押すのかな、ポチッとな。
『ヒデオと『サザン』が狩りかな』
『夕方から狩りはしないべ、ヒデオの装備が新しいから買い込んで着てみようって感じだな』
『ヒデオ、ゴリラ居るの?』
「いるよ、見えないけどね」
『ミキちゃんが歌ってたのは『
『ミキちゃんの『元気の歌』は良い歌詞だよねえ』
『人によってメロディが同じなのに歌詞が違うのは面白いよなあ』
ああ、『
鳥じゃなかったんだね。
「ミキの歌えるのは【元気の歌】と【回復の歌】、あと【お休みの歌】も使えるよ」
「色々出来るんだなあ」
「まだまだですよ、もっと
そういえば昨日、呪文書とか色々出てたな。
ああいう風に敵から【呪歌】が出て覚えて行くのか。
色々大変な職業だね。
「レア
「レア
「みのりんってアイドルの子がレア
「相手の動きを半分の速度にしちゃうの」
「それは凄く強いなあ」
『みのりんは世界で二番目に『
『豪運がすぎる! 余っていた
『あれはタカシが凄いのもあった』
そうかー、いろんな有名Dチューバーが居るんだなあ。
いつか、みのりんちゃんとタカシくんにも会ってみたいね。