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第12話 遭遇~~多人数対たった二人後編


「クソッこれじゃ挟みうちだっ!!!」


 こっちは丸腰だどうするか。


 さっき奪った剣は、ミリカを連れて逃げる時にだ。

 重くて邪魔だから何処かに捨ててしまったしな~~。


 ミリカは元から何も武器になる物を何も持っていない。


 追い詰められたか。



「ジョージ、これ完全に・・・」


「ああっ囲まれたな・・・」


 前方には、白い羽根付の赤いカウボーイハットを被り。

 赤いマント付のコートを着てレイピアを構えた女剣士。


 青灰色のダンゴムシのような飾りの付いた鎧。

 同じくダンゴムシの飾りが付いた、ショートソード。

 ダンゴムシの形をした、ラウンドシールドを装備した騎士。


 黄緑のフードを被り、マスクで口元を隠し。

 服にギリスーツのような葉っぱをつけ。

 腰に、二本のナイフを下げた、鋭い眼光を向ける短弓を構えた弓兵。


 派手な飾りが付いた、重そうな漆黒の鎧と漆黒のグレートヘルムを被り。

 背にウォーハンマーを背負い、ハルバートを此方に向ける大柄な重騎士。



「なんだ、こいつらは・・・」


「アンデッドよ、放って置けないわ早く片付けなきゃね」


 目の前に現れたジョージとミリカを見た四人の内、

 重騎士と女剣士は、二人を見てそう言う。

 そして、後方にはさっきの三人。



「おーーい、あんた等、そいつ等が逃げないように頼むぜ」


「我々に対して、ちょっかいを出したからな、そこのアンデッド二匹は?」


 魔法使いと僧侶は、前方から現れた四人に対し。

 ジョージとミリカ達、アンデッドを逃がさない様に頼んだ。



「ははっ!あんた等こそ逃がすなよっ」


 その言葉を聞いた騎士は、笑いながら軽口を言って素早く剣と楯を構える。


 ジョージは詰んだな、この数じゃあ流石に敵わないなと思ったのだが、その時。



『ガラッガラガラッドォーン』


 急に洞窟内の右の壁が崩れる。

 そして壁に穴が空き、崩れた岩やレンガの土埃が暗い洞窟内の中を舞う。



「ゴホッゴホッ!! 何があった?」


 弓兵は突然の出来事に戸惑いながらそう言う。

 そして、壁が崩れて出来た穴の側に居た剣士は。



「何かくるっ大男? うっうわあぁぁぁあああぁぁ」


「グオオオォォォーーーーーー!!!!」


 剣士は叫び、穴から現れた大柄なハイゾンビに頭から食われた。


 更に、ハイゾンビの後ろの穴からは大勢のゾンビ。

 狼ゾンビ。

 グールの群れが雪崩れ込んでくる。



「ジョージ・・・助かったのよね・・・」


 援軍として偶然現れたアンデッドの群れを見たミリカは、ジョージに呟く。



「ああ形成逆転だっ! だが、まだだ、あいつ等がいるからな? さっきのお返しだ、追っての三に・・・いや二人になっ!」


「そうよね? ジョージ、倍返しにして殺ろうよっ!」


 俺とミリカは混戦の中を駆け出す。

 居た、俺は魔法使いに目を向ける。

 魔法使いは、ゾンビに向かって火球を放っていた。



「くっくるなぁっ! 死ねぇっ!?」


『ボッボッ』


 次々魔法を放つ魔法使い。

 その後ろから、ジョージは近づき、羽交い締めにする。



「ごがっ!? がっ!?」


 もがく魔法使いに対して、ジョージは情け容赦はしない。

 さっきのお返しだと言わんばかりに、彼は更に力を入れて首を締める。


 そして。



『ガブッ』


「んぐんぅぅー!??!?!!」


 俺は首筋に噛み付いた。

 そして、周囲のゾンビ達も魔法使いに一斉に殺到した。

 魔法使いは貪られ、苦しそうに呻きながら事切れる。


 一方、ミリカは。



「おじさぁん、どこに行くのおぉ?」


 そそくさと逃げ出そうとする僧侶の後ろ姿を見つけたミリカ。

 彼女は、背後から可愛らしい言葉を掛けるが。



「ひぃっ! 寄るなぁ不浄な魔物めえぇぇ」


「はあっ? 女の子をいたぶっておいて不浄な魔物ですってえっ!? もう怒ったわぁーーこれでも喰らいなさいっ!!」


 そう言いながら、ぶちギレたミリカは僧侶に向かって一気に飛び掛かった。



「くそおーー」


 勢い良く飛び掛かって来たミリカに対して、杖を向ける僧侶。


 だが、その横から。



「グルゥゥゥッ!」


「うわっ! ああぁぁぁっーー!?」


 狼ゾンビが、吠えながら飛び掛り、僧侶の右腕に噛み付いて地面に押し倒す。



「ナイスッ! ワンちゃん、そして、じゃあねぇ~~おじさ~ん」


「やめっやめろっ! やめろおぉぉーーーー!!」


 ガブッと僧侶の腹にかじりつき、血を吸いまくり、僧侶を苦しめて絶命させた。



「他はどうなっているんだ?」


 ジョージが辺りを見回すと。

 ガブッ、ブシュッと肉を噛む音や血が吹き出る音が聞こえる。



「やっ! やめろーー助けてくれーー!?」


 聞こえるのは音だけではなく、悲鳴が暗い洞窟内に木霊していた。

 その悲鳴が聞こえる方に、視線を向けると騎士は。



「ぐあーーいてぇーー」


 狼ゾンビとグールに倒されて、そのまま御飯になっていた。


 弓兵は、遠くから弓を射ちながら逃げて行った。

 重騎士はゾンビと化して、女剣士の火炎魔法の攻撃で倒された。


 その女剣士も逃げ遅れて、数体のゾンビとグールと狼ゾンビに囲まれてしまい。

 そのアンデッドの群れが一斉に襲い掛かり。

 彼女は火炎魔法でゾンビ達を焼き払い、逃げようとするが。



「アガォオオォォ」


 一番体格の良いハイゾンビが素早く女剣士を掴み。

 高く掲げると壁に向かって勢い良く投げ飛ばす。



「きゃあああっ!?」


 そして、女剣士はジョージの方に飛んで来て、そのまま壁に叩き付けられる。



「ううっ・・・?」


 呻き苦しむ女剣士は、そのまま動かなくなる。

 絶命したかなと思ったミリカは、女剣士の腕に一口噛みつき血を啜る。



「うーーん、おいひぃーー」


 ジョージとミリカ達や他のアンデッド達。

 彼等は、そのまま飽きるまで人間の死体を食べた。



『新スキル、獲得魔法を覚えました』


 ジョージの頭の中に何かが聞こえると同時。

 阿鼻叫喚の地獄はアンデッド側の勝利で終わった。

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