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第16話 二人組の強敵


 俺たちはアンデッドだ。

 人間だった頃の常識は少しは残っているが。

 人間にたいする情けなど無いに等しい。


 だから思いっきり殺させて貰うぞ。

 と、思っている間女格闘家と商人は俺達に近づいてくる。


 格闘家は機敏に動けそうだ。

 商人は腰から、袋や瓶を下げ、背中にはバックパックを背負っている。


 あんなに重そうなバックパックをしょって。

 見るからに、あれじゃあ戦闘になったらまともに動けないだろうに。



「まるで、自分が動けませんって言っているようなもんだぞ」


「ジョージ、あいつ見るからに鈍くさそうね」


 背中に背負う、バックパックを揺らしながら歩く商人を見た、ジョージとミリカ達。


 二人は、鈍くさそうだと思う。



「ああミリカ、確かにな・・・まっ! あいつはミリカが、俺は女格闘家を狙う、じゃあ出てく準備しとけ」


「はぁーーぃ」


 ジョージとミリカ達は待つ。

 敵が近付いて来るのをひたすら待つ。

 それでもまだ敵は来ない。



「いいかもう少し・・・」


「わかってるわ」


 後、もう少し、もう少しで二人は来る。

 小さな声を出してジョージとミリカは待つ。



「もう少し近づいたら・・・」


「もう少しね」


 まだだ、まだだとジョージとミリカは思いながら、早く来いと二人の敵に思う。



「後ちょっとだ・・・」


「まだなの」


 後少しだとジョージが言うと。

 待ちきれないとばかりにミリカは、まだかと彼に問い掛ける。



「ミリカ、今だっ! ダークボール」


「ちょっ! 今っ? フレイムボール」


 二人は一斉に魔法の玉を放つ。


 ジョージの魔法は女格闘家に簡単に交わされる。


 一方、ミリカの攻撃は、フレイムボールが。

 商人に当たりはしたのだが、直前に奴が。



「ひぃぃ」


 叫びだして、頭を下げたので背中のバックパックに当たって、燃えてしまい。



「ああぁぁ~~大事な物資がっ!?」


 商人がそれを背中から下ろし、バックパックに付いた火を慌てて払い消す。



「ふぅ危なかった」


 と、商人は言う。


 その間に女格闘家は、飛びはねながら此方に近づいて来る。

 なので、俺は再びダークボールを放つ。



「ダークボール」


 放つ放つ放つ。

 だが、紙一重でダークボールは交わされてしまう。

 その間も、どんどん飛びはねながら間合いを積めて来る。


 ヤバい俺の本能が感じた。

 そして、女格闘家は大きく跳躍する。

 その間も、魔法を放つが当たらない。

 そして、一気に距離を積め俺の目の前にくると、強烈な飛び蹴りを叩き込んできた。



「ぐっ!」


 更に猛烈な勢いで、女格闘家は何度も強烈な蹴りを放つ。



「ジョージッ! フレイムボール」


 ミリカが魔法を放つだが当たらない。

 女格闘家は、簡単にそれを避け後ろに飛び下がったからだ。

 そうこうしている間に、商人は袋から瓶を取りだして、こっちに投げてきた。



「これでもくらえぇっ!?」


 商人の投げたビンは回転しながら孤を描きながら宙を舞う。

 女格闘家もそれにあわせて跳躍し、空中を舞い女格闘家がビンを蹴って割った。


 瞬間バリンと破裂音が地下道に木霊する。

 中からは何かの液体が周囲に飛び散る。

 それは、一見ただの水に見えるが。

 俺とミリカは避けきれず、液体が体に掛かってしまう。


 液体は体に掛かると。

 途端に、シュウゥゥーーと不快な音を立てて嫌な匂いを発する。



「酸かっ!?」


 いやただの水だ。

 だが体が痛む。

 幸い、俺は余り謎の液体は掛からなかったが。



「なにっ! これぇーーと言うか痛いっ! 痛いーー!?」


 ミリカは、余りの痛みに耐えきれず、苦痛で歪めた顔を左手で覆う。

 それでも、彼女の痛みは止まなかった。



「いったーーい、つぅーー!!」


 どうやら、俺よりもミリカの方が、かなり大量に水を顔に浴びてしまったようだ。



「大丈夫か、ミリカ」


 ミリカの顔が溶け、赤く爛れている。

 まるで、お岩さんのようだ。

 お岩さんって、いや今はそれどころじゃない。



「よくも、ミリカを」


 俺は女格闘家の方へ勢いよく迫る。

 すると、女格闘家は冷ややかな視線を送り。



「馬鹿ね、突っ込んでくるなんて」


 そう言うと、俺の頭を狙って両手の鉄の爪で斬りかかって来る。

 だが俺は笑う、待っていたぞ、この時を。


 両爪が俺の頭に届く直前に、盾で両手の爪を弾き。

 そのまま、女格闘家の腕を掴み。


 爪を地面に突き刺し女格闘家は動けなくなる。

 そして、四つん這いになって、動けなくなって焦っている奴の顎に膝蹴りを入れる。



「ぐはぁっ!?」


 そして、追撃で腹にも一発、力強い蹴りを入れる。

 その攻撃に、女格闘家は苦しそうに呻く。



「ぐっ? ううぅぅっ!」


「さっきのお返しだ喰らえっ! ダークボール」


 まだ攻撃を受けて回復していない女格闘家。

 その正面から、ジョージは至近距離から魔法を撃ち込んだ。

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