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第17話 吸血鬼女ブチキレ、そして・・・あの瓶の中身は~~


 ダークボールを放たれた女格闘家は、体の腹の真ん中を撃ち抜かれる。


 その当の女格闘家はと言うと。



「うっ!」


 一言呻くと、顔は精気を、瞳は光りを失い、そのままどっと俯せに倒れて絶命する。

 彼女の背中を見ると、見事に抉れた穴が空いていた。



「うわぁぁぁぁ」


 その様子を見ていた商人が、恐怖で悲鳴を上げ、二人から逃げ出そうとするが。



「に・が・さ・な・い・わよぉ~~くも麗しい女の子の顔をキズモノにしてくれたわねぇ? この変態ぃ~~丸焼きにしてやるっ!!」


「ひぃっ! お助けを~~」


 憤るミリカの前で、命だけは何とか助けてくれと商人は土下座しながら懇願する。



「だぁ~~めぇ」


 ミリカは、最初だけ鬼母神の如く激怒していたが。

 最後のだ~~めだけは眩しい笑顔で答えた。


 顔の肉が溶け。

 血が垂れ下がり。

 脳がむき出しになり。

 脳味噌のシワまで見える。


 あの顔で言われるとさぞや怖いだろう。

 そして、当の商人は、ミリカに右手の人差し指を向けられる。



「じゃあねぇっ! ばいばあーーい・・・フレイム」


「嫌だ、お助けをっ!」


 最後の別れを告げるミリカに、直も商人は助けてくれと叫んだが。


 当然それは。



「ボール」


「お助けっ! ーーーぎゃあああぁぁーーーーーー!?」


 聞き入れられる事は叶わず、商人は顔に一発、フレイムボールを射ちまれた。



「死ねえっ! フレイムボール、フレイムボールッ!!」


 更に、その後も立て続けにミリカは、紅蓮の火焔に包まれる商人に射ち続けた。



「ぁっ? ぁぁ」


 商人は身体に何度も火球をくらい。

 やがて、その身は全て灰になって崩れた。


 その後、俺は俯せに倒れている女格闘家の両腕を引き抜き。

 その右腕を食べる。

 反対側の左腕は切り落として、ミリカに譲る。



「ほらっ! 食っとけ?」


「良いの、もらっても?」


 ジョージが渡した右腕を受け取ったミリカは、良いのかと言って驚いた顔をする。



「良いも何も? お前あの商人を灰になるまで燃やしちゃったんだから、しゃあないだろ」


「ありがと~~ジョージ、じゃ遠慮いっただきまーーすっ!」


 ジョージは、ミリカに仕方がないと告げる。

 黒焦げになって、カスカスになった商人の死体を指差しながら。



「ガブリッ! チューーッ! ぷはぁっ! 美味しいっ♥」


 ミリカは屈託のない笑顔で女格闘家の血を啜る。

 そして、ミリカの顔のキズは血を吸う程元の形に回復していった。



「なあ、ミリカなんかさ、疲れないか?」


「何、ジョージ?」


 突然、疲れたと言い出した、ジョージにミリカは何いきなりと思う。


 だから、もう一度聞き返した。



「何が?」


「いやさぁ、ここは時間が分からないだろ? 地下道だから」


 ミリカが聞き返すと、ジョージは疲れを感じる理由を話す。


 それは時間の事だ。



「そうね、時計もないし太陽や月もないしねぇ」


「そうっ! だから今が朝方か夕方かわからないが眠くないか?」


 確かにそうだと、ミリカも目を瞑って考え。

 ジョージは更に時間の事を話す。



「うーーん、言われてみれば、そうね?」


「もう何時間、いや何日も不眠不休で戦っていたしな、アンデッドだから体が疲れるもんなのかは、わからないけど精神的にはこうずっと戦ってたら疲れるだろ」


 納得した様子のミリカに、ジョージは肉体ではなく、精神が疲れを感じると言った。



「言いたいことは分かるけど、どこで寝るの、寝ている間に敵に襲われたらどうするの?」


 ミリカは、この辺りで眠ることの安全性を心配する。



「それは・・・その? あっあれだ、この地下道には瓦礫が処所あるだろう、あのガレキのしたで寝るんだよ、ミノムシ見たいにな」


「ミノムシってま~あ現状それが一番ましな睡眠方法ね」


 ジョージは脇に存在する瓦礫を指差し。

 あそこで眠ろうとミリカに伝えると、彼女もそれなら安全だと納得する。



「一緒にガレキに隠れ、片方は見張り、片方は寝るこれでどうかな?」


「良いわね、でも寝ている間に変な事してきたらその頭・・・どうなるかわかっているのよね?」


 ジョージの提案である交代制の見張りに、ミリカは右手の人差し指を天井に指差し。



「ぼっ!」


「あっ! もっ勿論さ、あの商人見たいになりたくないからな」


 ミリカが、一言呟きながら火炎魔法を放つ真似をすると。

 ジョージも、慌てて変な事はしないと否定する。



「ふぅ~~ん、本当かなぁ? なぁんかやらしい事考えてんじゃないの?」


「んな分けないだろっ! 疲れたから寝たいんだよ、もう勘弁してくれよ」


 ジト目で見てくるミリカに、ジョージはそう言う目的は無いと必死で否定する。



「あははっ! じょーだんよ、じょーだんっ! ・・・それにぃ~~私達夫婦パートナー何だからそう言うことも・・・」


「んん? なんか言ったか?」


 ミリカは、笑いながら小さな声で言ったが。

 ジョージは、その言葉を聞き逃してしまった。



「何でもないっ! 何でもないってばっ!!」


「いや、今なんか言ったろっ」


 顔を真っ赤にして騒ぐミリカを、直も問い詰めるジョージ。


 そのしつこさにミリカは怒って。



「しつこいっ!」


「おい止めろっ! そのレイピアを俺の体に刺すのはよせっ! ちょっと止めて・・・あっあれをっ!?」


 グサッ・・・グサグサグサグサ。

 と、ミリカは鞘から抜き取ったレイピアを何度もジョージの体に突きだしてきた。



「その手には乗らないわよ」


「だからあのパックを・・・」


 騙されないと、ミリカは更にレイピアを突きだす速度を上げるが。

 ジョージは、商人のバックパックを指差して。



「パック?」


「戦利品さ、ミリカ、パックの中身が気になるだろ? 使える物が入っているかもしれないぞ」


 ジョージは、人差し指を商人のパックへ指差す。

 それを、怪訝な顔をしながらミリカも見つめた。

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