「ダークボールッ!」
「フレイムボールッ!」
乱れ撃ちしまくって、二人が柱に近ずいていく。
それに、気付いた人間達は魔法を撃ち変えす。
「サンダーショット」
「アイスビーム」
ジョージは盾を構えて防ぎ。
ミリカは、軽やかなステップで避けてガレキの裏に隠れる。
その間は人間達は他のゾンビ達を攻撃する。
「ミリカ、俺たちは何もしなくてもよさそうだ」
「そうね、あの様子じゃあねぇ~~?」
二人が視線を向けている足場の丸太は、大量のゾンビに押されて倒れかかっていた。
「ありゃ、今の内に崩れるな」
「も~~うちょっとぉ~~ねっ? あっ! 崩れたわ」
「いやあぁぁぁ」
「わあああ」
ジョージとミリカ達は、足場を観察する。
四人いた人間達は、崩れた丸太によって、二名潰され。
残る二人はゾンビのエサになった。
「いやっ! やめてぇぇぅあえゴボッ」
ゾンビに囲まれて、複数のゾンビに噛みつかれ血を吐く女魔法使い。
もう一人の魔法使いは、ゾンビに腹を噛じられて絶命していた。
「あの女が、ダリアか?」
「そうじゃないの? さっ! 残りは遺跡の方ね」
魔法使い達の最後を眺めたジョージとミリカ達は呟く。
そして、次の行動に移ろうとする。
「ああ・・・行くかっ! 行きますかっと」
「あんた、おっさんクサッ!」
オジさんが喋りそうな台詞を吐いたジョージを、ミリカはダサいと思った。
「そりゃ、疲労が溜まって疲れてんだもん、おっさん臭くもなるさ」
「じゃ、もっと老けてオッサン臭くなる前に行きましょっ! て、あっちの方も崩れている・・・ゾンビがやったのかしらね?」
オジさん臭いと言われた、ジョージは仕方ないだろうと言うが。
ミリカは気にせず前に進もうとする。
「動くな・・・」
「なっ嫌あぁっ!?」
背後から急にギリスーツの男が、ミリカを付かんだ。
奴は、人質成らぬ、アンデッド質にしてきたのだ。
「ミリカ!?」
「動くなつってんだろ」
ギリスーツの男に、後ろから体を捕まれたミリカを助けようと。
ジョージは叫ぶが、当の男は放す訳が無い。
「お前っ! ミリカを放せ」
「五月蝿いな、しゃべる珍しいゾンビがっ!」
ジョージが怒鳴ると、ギリスーツ男は悪態を吐く。
そして、その後ろには聖水瓶を構えた男とクロスボウを構えた女が立っていた。
「ジョージ、助けてっ!!」
「へ、黙れよ! 黙らないなら、この瓶の中身を口に流し込むぞ」
「その方が良いんじゃない? どうせ後でこのゾンビも仕留めるんだし」
ミリカは叫び。
瓶を構えた男とクロスボウを構えた女は、笑いながら彼女を傷付ける仕草をする。
「くそっ・・・どうする?」
「さあ武器を捨てろっ!」
「ジョージダメぇっ!!」
どうしようも、こうしようも助ける手段の無いジョージ。
彼は、ギリスーツ男の言葉に従う他なく。
ミリカの悲痛な叫びが空しく木霊するだけだった。
「ミリカ、仕方ないだろ」
「よし、武器を捨てたか、じゃあなっ! あの世で俺達の死んだ仲間に詫びな、二人共殺れっ!」
ジョージが、ショートソードとダンゴムシ型のラウンドシールドを捨て。
両手を上げると、ギリスーツ男は二人に命令を下す。
「今さら手を上げても遅いんだよ」
「いや、遅くないさっ! ダークボールッ」
ジョージは、天井に向けて暗黒魔法を放つ。
その暗黒球は当たり、天井が崩れ落ちてくる。
『ガンガッガッ』
「くっつぅぅ」
「あっ」
「いてっ」
天井から岩と土砂が大量に降って来て、三人の頭にドカドカとぶち当たる。
「ううおおおぉぉぅ」
ジョージは咆哮を上げる。
その声に呼ばれた大勢のゾンビが群がって来る。
「ゾンビが来るっ! 逃げたほうが良いぞ」
「そいつ等は放っといて、もう行きましょう」
瓶を構えた男が慌てて言うと、クロスボウを構えた女も早く逃げようと言い出す。
「やかましいっ! 分かっている、おい、女ついてこいっ!」
『がぶっ』
ギリスーツ男がミリカを連れて行こうとするが、彼女は腕の肉を噛みちぎる。
「いてててて」
ギリスーツ男はミリカに腕を噛みちぎられて、余りの痛みにのたうち回る。
「ミリカァッ! ダークボールッ」
ジョージはダークボールを放ち、そして、それはビンを構えた男に当たる。
「があぁぁ」
ビンを構えた男は、暗黒球が胸のど真ん中に命中して大穴が開き、後ろに吹き飛ぶ。
「ぐっ! 来るなっ! 来るなあぁーー!!」
女の方は集まって来たゾンビに倒され。
腕を捕まれて足をジタバタさせるが逃げ出せず。
やがて、バタつかせていた足も動かなくなりそのまま餌になる。
そして、ミリカは腰の鞘からレイピアを抜くと同時。
のたうち回る、ギリスーツ男の心臓を貫いた。
「この変態っ! いきなり女の子に抱き付くなんて」
「まあ? ミリカ、そいつはもう死んでるし、そのくらいにしておけ」
ゲシゲシとギリスーツ男の死体を蹴りまくるミリカを、ジョージは止める。
「い~~やっ! 返し足りない」
「お前は子どもか、ちょっとは落ち着けっ!」
直も怒りで顔を真っ赤にして足を動かし続けるミリカを、再びジョージは制す。
「はあ~~そうね、これで終わりね?」
ミリカが落ち着きを取り戻すと、二人は周囲を見渡す。
前に見た光景と同じく、たくさんのゾンビが人肉を貪っていた。
『レベルアップ、ジョージ、レベルアップにより新スキル
『レベルアップ、ミリカ、レベルアップにより新スキル
「おっ新しいスキルだ」
「やったぁ、でどんなスキル」
脳内に響くスキルの声。
それに、ジョージとミリカは喜び、何のスキルを得たのか期待するが。
「感染血液っ!?」
「血族化ぁ?」
ジョージとミリカ達は新たなスキルを手に入れたが、スキル名から能力を察して。
「これは」
「これってさ」
相談し合おうとするジョージとミリカ達だったが。
そこに、急に脳内に声が響き。
『レベルアップにより進化します』
「おいちょっと」
「ちょっ! まだスキルの説明見てない」
ジョージは緑色の卵に。
ミリカは赤い玉に包まれる。
そして、中から二人は新たな姿で現れた。