殻を破り、その中から二人は現れた。
そうして、周りを見渡すジョージとミリカ達。
「あ~~進化したのか?」
「どうやらそう見たい!」
進化した自分達の様子を確かめようと、ジョージとミリカ達はステータスと念じる。
「で、俺はなんになったんだ?」
『ステータス確認、ジョージ、ハイゾンビ』
頭の中で念じて、自分の種族の名前を見たジョージは、自身の進化を知った。
「あ~~? どうやら俺はハイゾンビになったみたいだ」
「ジョージ、なんか体つきが大人びたもんね」
ハイゾンビと化したジョージ。
その姿を見て、思い付いたミリカの感想は悪くなかった。
「お、そうか」
「うんっ! なんか前より体が大きくなっているよ? いわゆる細マッチョになってる」
ジョージは鏡が無いので、自身の容姿がよく分からないが。
腕を見ると確かに引き締まったのが理解出来た。
それを見た、ミリカは子供のように喜ぶ。
「んーー? そう言われると、なんか筋肉がついた気がするな? それに力もみなぎるぞ」
ジョージの体はミリカの言う通り、元々の傷等はそのままだが。
筋肉は盛り上がり、非常に引き締まった体になっていた。
「て言うか、ミリカお前もなんつーか色気がついたな?」
「はあぁーーなに言ってんの?」
ジョージは、イヤらしい意味で言った訳ではないが。
そう言う意味だと受け取ったミリカは。
『バチん』
「うげっ!」
ミリカは両手を頬に当てて恥ずかしがりながら、ジョージの頬を強くはたく。
「他にはぁ?」
「はあっ!?」
ミリカは急にジョージの方に詰め寄る。
その行為に威圧された彼は何も言えない。
「他には?」
ミリカは腰からレイピアを引き抜き、切っ先をジョージの眉間に突きつける。
「他にはないの? キレイになったとか美しいって言葉はさぁ~~」
ミリカは目を細め、ジョージに怪しく微笑みながら、蛇のように睨み付ける。
「あっいや? ほら、あれが・・・」
「あれってぇ~~何っ!」
ミリカは最初は優しく話し、最後の何っは声色を変えて脅すように言った。
「あれだっ! あれっ? つっ爪が赤くキレイになった」
ジョージの言う通り、ミリカの爪は伸びて、赤紫色に染まり鋭く尖っていた。
「ふぅ~~ん、それで?」
「えっ? 後は背が高くなって、牙が長くなって、更にヴァンパイアぽくなった」
それでと、更に詰め寄るミリカに対して、ジョージは取り合えず見たままを話す。
「それって、可愛いってことぉ?」
ミリカは、ジョージに顔を近づけて息をふぅっと吹き掛ける。
すると、ジョージは良い香りがすると思った。
「持っと、持~~とっ誉めて♥」
甘えて媚びるような声で呟くミリカ。
その真っ赤な頬を見た、ジョージは兎に角また見たままを喋る。
「うぅ~~ん、そのふっくらとした唇、前より赤くふっくらしてる」
「ふぅ~~んまぁ、及第点ってことね?」
ミリカの体と容姿もまた、進化によって、スタイルが大幅に変化していた。
丸くて愛らしかった顔はふっくらとした感じを残しつつ、多少シャープな顔になり。
元々、細身だった体は、身長は伸びつつ体型は細見だがムッチリとした質感になり。
バストやヒップも引き締まりつつも大きくなる。
髪の毛はより
彼女は、大人の女性と無垢な少女の中間のような姿となっていた。
二人共、容姿は高校生の年齢に見られるくらい背が伸びて、体は大きくなっていた。
そして、並みの人間より体力も魔力も上がっていた。
「ミリカ、お前は何に進化したんだ?」
「んっ! ステータス確認、ヴァンパイアガールだって」
ジョージは、ミリカに種族名を確認するように聞くと、彼女は早速調べてみる。
「そうかお前も、より上位のアンデッドに進化したんだよな? あっ! そういや? スキルの事をすっかり忘れていたわ」
ジョージは突然、スキルの事を思い出す。
そして、彼はステータスと念じて調べ始めた。
「そうよっ! スキルも確認しないとっ」
ミリカも慌ててスキル確認をする。
ステータス、感染血液。
このスキルは噛まれて絶命した者。
体が傷つき重度の負傷を負った者。
これ等の人間をアンデッドに変える能力を持つ。
アンデッドとなった者は自らの忠実なる部下にできる。
更に噛まれた者は、数分立つと噛まれた部分が腫れ上がり、動けなくなる。
但し相手を噛んだ時のみ有効。
返り血を浴びせた場合等は、部下に出来る能力のみ有効。
「おおっ! こいつは凄い能力だ」
「私のスキルもすごいわよ」
ステータス血族化。
このスキルは噛まれて絶命した者を自らの配下にできる。
また配下となった者は絶対の忠誠を持つ家臣となる。
更に相手に吸血した時、相手の生命力を少しだけ奪い回復する事ができる。
単純な吸血と違い相手の体力を削る効果あり。
「ねっ? すごいでしょっ!!」
「確かにミリカのスキルもいいな・・・俺のスキルは部下にできる以外は、相手が噛まれたら動けなくなるスキルなのか?」
ミリカは自身の手に入れたスキルを自慢すると。
ジョージは、自分とミリカのスキルの確認をする?。
「ミリカのスキルは噛みついたら部下にできる意外は、自分が相手の体力を吸いとり回復できる・・・か? まあ、基本的に部下に出来るって所は一緒か?」
「でさぁーーこれからはどっちへ行くのよ?」
一人ぶつぶつと喋り続けるジョージに対して、横からミリカは話し掛ける。
「そりゃ当然、奥に前進だ行くぞっ!」
「おおっ! 行きましょーー」
二人は進む。
ほの暗い暗闇の中、まだ見ぬ先へ。
その先へ先へと歩いて進む。