「シャル・・・君だけは・・・生きろ・・・生きて帰るんだ」
アレリオは力なく途切れ途切れに喋った。
その姿は弱々しく憐れであった。
「うるさいぞっ剣士、それに生きて返す訳ないだろうが」
「アンデッド・・・よ、俺の・・・命はくれて、やるっ! ・・・っだから彼女は、シャルだけは・・・頼む、『ごふぉっ』・・・ううぅっ! はぁっはぁっ」
ジョージは耳障りだと感じて怒鳴るが、アレリオは直も苦し気に喋り続ける。
「それって、仲間になるってことだぞ」
「そうよぉーー? 私達の仲間入りするの?」
俺とミリカは、剣士に仲間としてアンデッドに成ってくれるのかと聞くと。
「ダメよっ! アレリオ、諦めないでえっ」
「シャル・・・『はあっ』いいんだ・・・もう、俺は・・・『はあっはあぁっ』さあっ! 『がふっ』・・・アン・デッドよっ! 俺に止めを・・・」
シャリルは、ボコボコに腫らした顔から涙を流して叫んだが。
アレリオは、覚悟を決めたようだ。
「殺すのはいいが、その前に」
俺は自らの腕を軽く削ぎ、ショートソードに俺の血を垂らす。
そして俺は。
「剣士よ、アレリオって言ったか? 良く頑張ったな、さあ最後に望み通り止めを刺してやろう」
ジョージは血に濡れたショートソードをアレリオの胸に突き刺した瞬間。
その胸から、血が噴水のようにバアーと噴き出す。
「アレリオォーーーーッ! あっ! そんな・・・グスッグスッ! 許さない絶対に貴女らを許さないっ!?」
「うるさいわねぇっ?」
シャリルの言葉を五月蝿く感じた、ミリカは彼女の左肩をレイピアで貫いた。
「ぐあぁぁっ!」
「うるさいって、さっきも言ったでしょ」
今度は首の皮を鋭い爪で切り裂き、それを引っ張り、ベリベリと音を立てて剥がす。
「いぎゃあっぁぁーーーー!?」
シャリルは首に感じる苦痛に絶叫し、そして消え入りそうなか細い声で懇願する。
「もうやめて・・・下、さい・・・アレリオが・・・自分の、命の変、わりに? 私を逃がす・・・約そ」
「ああっ! あの約束ねーーえぇ? 貴女さあ、あんな口約束を守ると思っているの?」
やめてと頼むシャリルだが。
ミリカは、さも当然とばかりに小馬鹿にしたような笑みを浮かべ。
先程の約束は守らないと冷たく宣言する。
「やっぱり・・・ね? 守って・・・くれる、訳ないかあ~~ふっふふふ?」
「当たり前だろう? 誰が行かして返すかアホッ!」
すると、シャリルは目を瞑り天井を向き歌いだした。
なんだ、気でも触れたかとジョージとミリカ達は思った直後。
「主よ~~ぉ我~~ら~~? ・・・に光ぃを~~・・・」
シャリルの神聖な歌声が十字路に木霊した。
その歌声を聴いたアンデッド達は。
「ぐわわっ! わわわあぁぁっ! ぁっ! わっわ」
「おあぁぁぁおぇっ! あぎゃっぁぁぁぁ」
歌声は、二人を含む周囲のアンデッド達の脳内に響く。
なんだこれは、痛い痛い痛いとジョージとミリカ達は苦しむ。
そして、スケルトン等も頭を抱えて、脳内に響き渡る痛みにもがき苦しむ。
ジョージとミリカ達は絶叫して口から嘔吐しのたうち回る。
呪文か、それともこれは聖歌なのか。
頭に感じた硝子が刺さったかのような鋭い痛みに、二人は不様に苦しみ続ける。
ジョージがのたうち回っていると、ミリカは頭痛の痛みをこらえ、立ち上がる。
「こおぉのっ! ビッチプリーストがあぁっ!?」
ミリカは手近にあった瓦礫の石を投げ、それは歌うシャリルのこめかみに当る。
「うっ」
シャリルの歌は、彼女が呻くと歌声が止まる。
そして、ミリカは彼女の口に石をはめ込んだ。