あれから数十分後。
「しかし困ったな・・・シャリルはともかく、今ここからミリカは動かせないな? 軽傷とは言うものの、この状態じゃ下手に動かすのは得策じゃあない」
ジョージは今の女性メンバーの状態に悩む。
「ここに留まるのも得策じゃないですね、もし人間達が来たら我々は怪我人を二人も抱えて戦う羽目に・・・!」
アレリオは、ふと後ろに気を配る。
「ううっ・・・んっ! ジョージ様、アレリオ・・・ミリカ様は無事で・・・」
「シャル、起きたか? ミリカ様は顔と手首に軽い焼けどを負ってはいるが無事だ、シャル君は大丈夫なのか」
目を覚ましたシャリルが呟くと、アレリオは彼女を気遣う。
「ええ、貴方が私を抱えて運んでくれたお陰で私は無事よ、それよりミリカ様はっ」
「シャリル、ミリカは今はまだぐったりとしていて元気がない」
ジョージは、シャリルに対して、ミリカの状態を教える。
「君はアンデッドになる前は僧侶だったんだろう? 何かミリカに治療してあげられないか」
「ジョージ様、お任せを」
ジョージがそう言うと、シャリルは立ち上がる。
「ヒール」
シャリルが回復魔法を唱えた。
すると、焼けどを負ったミリカの皮膚はみるみるうちに傷が回復していった。
「んみゅっ? はっ! ここはっ! どこぉーー何があったの!?」
ミリカは目を覚まして起き上がり、混乱する。
「よっ! 眠り姫のシンデレラさん」
ジョージは、起きたばかりのミリカに冗談を言った。
すると彼女は。
「ぎゃあーーーー化けーーもーーのーーだあーー!?」
『ザシッ! ザッ! ザシッ! ザッ!!』
ミリカはレイピアを、ジョージの顔、腕、鎧の隙間に、何度も突き刺す。
「アホッ! 俺だっ! ジョージだ、やっやめろっ! 落ち着け」
「ああっ! ミリカ様、気を確かにっ」
ジョージは、顔の前で両腕を交差させてミリカの攻撃を防御する。
アレリオは彼女を後ろから羽交い締めにする。
「ジョージ様ですよっ! 落ち着て下さいっ! ミリカ様」
シャリルも、レイピアを持ったミリカの手を押さえつける。
ジョージは刺されながらも、ミリカを落ち着かせる。
それを手伝う、アレリオとシャリル達。
「へ? あれ!? ジョージに・・・アレリオ、シャリルちゃん達ぃ?」
ミリカはようやく落ち着きを取り戻して、レイピアを鞘にしまう。
「はあ~~やっと落ち着いたかあ~~何を寝ぼけてんだよ」
「ゴメンねぇっ! ジョージ」
ミリカは申し訳なさそうに両手を合わせてジョージに謝る。
それから彼は、今のレイピアの刺突攻撃で疲れてしまった。
「はあ~~? まっいいわっ! お前といると、いつも必ず起きる事だしな」
ジョージはミリカを許す。
と云うか、トラブルはもういつもの事だ。
たがら、こういう事にも慣れているので彼は既に諦めているのだ。
「シャリル、申し訳ないけど少しばかり回復を頼むわ」
「はいっ! ジョージ様、ヒールッ!」
ジョージが、シャリルに負傷を治してくれと頼む。
その頼みを聞いて彼女は。回復魔法を唱えると、彼の傷は回復した。
「さあーーて、ミリカも起きたし、これからはどうすっかなあ?」
「ここは人間の通り道、早くどこかへ逃げるか隠れるかしないと、そして今は昼間ですよここから外へは出られないですし」
ジョージはどうするか迷うと、シャリルは今の状況を言った。
「あーーそれな? さっき、アレリオと話していたんだけど、まだ決めてなかったな・・・」
ジョージは悩む。
これからの行動を考えてどうするかを。
「取り合えず、戻りますか、スケルトン達の所まで」
「そうするか」
アレリオの提案を、ジョージも賛成した。
その時、扉が開き、重そうな音を立て少しずつ開く。
「敵だ隠れろっ!」
アレリオは小さな声で皆に伝えた。
そしてたくさんの人間達が歩いてダンジョンの中に入って来た。