「たっ! 助けてぇぇぇぇ!?」
響き渡るミリカの絶叫と、ジョージの咆哮が響き渡る。
「今助ける、待っていろっ!」
「たっ大変だあーー攻撃しろーー」
二人の人間がミリカを助けようとする。
「嫌あぁぁぁーーーー」
ミリカは叫び、ジョージにレイピアで刺突攻撃し。
更には、ビンタやグーパンチ等を連続で行う。
その度に、ジョージはビタッバシッと叩かれた音を反響させ。
顔を、あちこちに向けてのけ反る。
「ぐっ! はっ! あおっ! ミリカやり・・・過ぎ・・・だ」
ジョージは小さな声で言うが。
ミリカは聞こえない振りをして、わざと彼に様々な攻撃をする。
「ジョージぃやめてぇぇっ! 嫌っ私よーー」
最後にミリカは、ジョージを壁まで投げ飛ばす。
ドォーンと投げ飛ばされ。
派手な音を立て、壁からずり落ちるジョージ。
「ミリカ、あ・・・やり・・・過ぎ?絶対・・・わざとだな・・・」
ジョージは、そう思って言った。
ガッツポーズをして、そして、よっしと内心思うミリカ。
「グスッ・・・ジョージぃっ!!」
ミリカはまた泣き真似をする、それを見てた僧侶は。
「失礼しました、貴女はどうやら人間のようですな、仲間の遺体は私達が埋葬してあげましょう」
「それは有り難うございます、ですが私達の別の仲間がもう少しで此方に来るので心配は要りません、私の仲間達は後で自分達の手で埋葬して上げたいのです」
ミリカが言うと、僧侶はそれを信じ。
「そうですか、それなら私達は先へ行きましょう、貴女と亡くなられた仲間の方々に幸あらん事を」
そう言うと、僧侶は胸の前で十字を切り。
「では、我々はこれで」
と、一言言って仲間達と一緒に奥へと進んでいった。
やがて、三十人はいた人間達は、段々と姿が小さくなり、暗闇に消えて言った。
「ふぅ~~もう良いわよっ! 皆大丈夫よっ」
緊張が溶けて、ため息を吐き、もう人間がいなくなった事を告げるミリカ。
「お前、わざと殴りまくったな」
「あちゃあーーばれたかあーー」
ジョージとミリカ達は、言い争う。
「アホかぁっ! 普通に分かるわぁーー」
「だって、多少はオーバーアクションな方がぁーー迫真の演技をできるでしょう」
「なぁ~~にが迫真の演技だっ! こぉのっ! 大女優、成らぬ、大根女優がーー!?」
「ひっどーーいっ! 人がいやっ吸血鬼が皆を助けようと頑張ったのにぃ~~」
「何が、頑張っただ?」
ジョージとミリカ達は、マシンガンの撃ち合いの如く言い争いを続ける。
「あの二人共・・・」
アレリオが、横から話かける。
「なんだっ?」
「何っ?」
ジョージとミリカ達は、怒りながら同時に聞き返す。
「あのお、外の天候が悪くて暗雲が立ち込めているので、出発が出来そうなんですけど・・・」
アレリオはそう言い、口喧嘩を続ける二人を止めた。
「ジョージ様、ミリカ様、御二人共、天候が我々アンデッドでも平気な暗雲になったので、私達四人は外へ向かうべきかと思いますが」
二人の喧嘩を止めるため、シャリルはそう言う。
「だな・・・」
「だねっ!」
ジョージとミリカ達は、シャリルの説得に納得する。
「はあ~~わざとのイタズラはお前の何時もの事だったな」
「そう言うあんたも嫌味言い過ぎよ、大根女優だあ何て」
ジョージとミリカ達は、お互いに反省した。
「ふっ? さあーーて、下らない罵声合戦は置いといて、アレリオとシャリルの言う通り、外へ向かいますかぁ」
「うふっ♥ そうね、こんな地味~~な場所に留まるよりも、広くて綺麗な世界を見に行きましょうかあぁーー」
ジョージとミリカ達は、ダンジョンの外へ飛び出る事を決心した。