ジョージ達は魔物山を目指して歩いていた。
そして、暗雲はいつの間にか無くなる。
空を覆っていた、暗く重たい雲も同時に無くなる。
それから、薄灰色の雲の隙間から月明かりが洩れる。
夜の月明かりだけが便りの暗闇に包まれた、灰色の岩。
岩だらけの世界をジョージ達は歩いていく。
暗く何者も寄せ付けない陰鬱な世界。
林でも在るのかと思いきや草木一本生えていない岩だらけの谷間。
おまけに夜だ。
人間達も活動を止め、就寝しているに違いない、だから早く行こう。
そう、ジョージは思った。
そして、ジョージは何か忘れているように感じる?。
「ああっ! ステータスッ!!」
「あっーー私も忘れてたああーー!」
「わぅっ!?」
「ひゃいっ!」
突然のジョージとミリカ達の叫び声に驚き、変な声を出すアレリオとシャリル達。
「あっ! すまん、すまん、ステータスの事を思い出してな・・・」
「あのねぇ~~私達にはね、ステータスって言う、特別な能力があって?」
ジョージとミリカ達は歩きながら、ステータスの事を二人に説明した。
それを聞いて、アレリオとシャリル達は凄い便利な能力だと思った。
「では? 御二人は、そのステータスを見れば、今の自分等の状態や魔力残量、体力や生命力を確認できると」
「それで、そのステータスとか言うのは、ジョージ様やミリカ様だけではなく、俺やシャルの今の種族の強さも調べられるのでは?」
シャリルは驚きながら、ステータスについて二人に聞く。
アレリオも、ステータスについて自分達の事も聞いてみる。
「そうだよっ」
二人の質問に対して、ミリカは短く答えた。
「今、お前らにも見てやるから、ちょっと時間をくれ」
ジョージは、二人のステータスを見てみる。
『ステータス、アレリオ、レベル1、
スケルトン』
『ステータス、シャリル、レベル1、
デスナーン』
「おしっ! 二人共、出たぞ」
ジョージは、二人がどんな状態か教えようとする。
「うんっ! アレリオは普通にスケルトンなのねっ?」
そして、同じくステータスを見ているミリカが先に言ってしまう。
「先に言うなよっ! たく、ええとシャリルはなんだ」
ジョージは文句をミリカに言いながら、次のシャリルの説明を読む。
「シャリルは・・・デスナーンて何だ? この名前は・・・デスプリーステスじゃないのか?」
ジョージは思わず、デスナーンが何かわからず困ってしまう。
そんな彼に対して、ミリカは彼に教える。
「ジョージ、ナン、と書いて、ナァン、て感じでね? 発音するんだけど、ナーンは英語とかで修道女って意味なの」
ミリカは簡潔に、デスナーンの事を説明する。
「修道女はシスターだろ」
ジョージは、ツッコミを言った。
「それは日本語で修道尼の事なのよ、皆勘違いするけど」
ミリカは、更に説明する。
「それに、こちらの世界ではどうか知らないけど、向こうじゃ、いろいろあって女性は司祭に慣れないとか慣れる宗派もあったりして面倒なのよ」
ミリカは、説明を終える。
「つまり、私はアンデッドの僧侶としてはまだまだ未熟者と言うことですね」
「俺も剣の修行が足りないか? もっと稽古や実戦で鍛えなきゃ駄目だな・・・」
シャリルとアレリオ達は、鍛え方が足りないなと言う。
「ジョージ様達はどんな種族なのでしょうか? ゾンビとヴァンパイアだと言うことは分かるのですが」
アレリオは、二人に質問して聞いてみた。
「うぅん、俺はレベル2のハイゾンビだったなっ・・・確か?」
「んーーんーー? 私はヴァンパイアガールッかな・・・レベルはジョージと一緒の2ね?」
レベルを確認した、ジョージとミリカ達。
「御二人はレベル2なのですね・・・私達もレベルを上げて、もっと御二人の役に立たねば成りませんね、アレリオ」
「シャル、そうだなっ! 只のスケルトンより強くなって、今よりも御二人を守らなければいけないな」
「ああ頼むぞ、二人ともっ!」
「ふふふ、早く強くなってねっ♥」
シャリルとアレリオ達はレベル上げを決意する。
ジョージとミリカ達はそう言って歩き続ける。
空の雲が動き、いつの間にか月が顔を出した。
それは、たくさんの星達と共に先程よりも、強い月明かりを夜空と地上に注いでいた。