谷間の間の岩と石ばかりが転がる小道を進む、アンデッドの四人パーティー。
(・・・静かだ? 心が落ち着く・・・今は何時だろう? まあ良いか・・・)
ジョージはしばらくは無言で進む。
「グオオオォォ」
「狼がいきなり現れた、しかし、この大きさは!? 熊よりデカイ」
「こいつはいったい?」
「山岳狼だっ!」
ジョージとアレリオ達が現れた山岳狼に驚き叫ぶ。
シャリルは急ぎ、雷撃魔法を放つ。
「サンダーショット」
山岳狼はシャリルの雷撃を軽く交わす。
奴は、そのままアチコチ跳びはねながら、ジョージの方へ向かってくる。
「このっ! くたばれっ!!」
ジョージは、ショートソードを振るう。
だが、その剣撃を山岳狼は右の前足の爪で防いだ。
カッンと鋭い爪と鉄の剣のぶつかり合う音が鳴る。
そして、山岳狼は反対側の左の前足の爪で反撃を行う。
「グルルルゥゥーー」
咆哮を上げ、ジョージに爪で斬り刻もうと襲いかかる山岳狼。
ガンッと金属音が鳴る。
ジョージはラウンドシールドで山岳狼の攻撃を防いだのだ。
「うっ! 強いな・・・」
(こいつは俺が魔法を撃っても回避されてしまうな・・・セミオート拳銃の様な連続発射を出来るミリカの火炎魔法か・・・魔法を使いなれ高い命中率を誇るシャリルの魔法で仕留めてもららおうか・・・)
ジョージは周りの気配に気づく。
周囲を見渡すと、山岳狼は三体も居たのだ。
山岳狼は、四人に一斉強襲を仕掛けてきた。
「よっと、よっ! あっ! はあっ! たぁ」
ミリカは、踊る様に軽快なステップで山岳狼の攻撃を交わし。
果敢にも、隙をついてレイピアで山岳狼に反撃する。
「俺が前に出るっ! シャル援護してくれぇっ!!」
「分かったわ、アレリオ、サンダーショットー」
アレリオが、前衛に立ち長剣を振るい山岳狼を斬りつける。
シャリルは、後方から雷撃魔法を放って援護しつつ。
他の味方がケガを負う度に魔法で回復させる。
「グルオォォ」
ミリカの相手をしていた、もう一匹の山岳狼。
奴は、後方からシャリルに跳びはねながら襲いかかる。
「あっしまっ・・・」
その奇襲攻撃に焦る、シャリル。
「シャルにっ・・・近付くなぁーーーー!!」
シャリルに近付く山岳狼に縦斬りを喰らわせるアレリオ。
そして、彼女は山岳狼を、メイスで頭を殴り叩きつけ追い討ちをかける。
「今だあーーえいっ!」
『ゴオン』
「ガウッ」
シャリルに頭を殴られて、衝撃音を出してよろける山岳狼。
「さあーーて俺も反撃に出るか」
ジョージは、今にも飛びかかろうとしているのか、姿勢を低く屈める山岳狼を睨む。
「さあっこいっ! バカ犬」
そして、山岳狼は真っ直ぐジョージに向かってくる。
彼の頭を噛み砕こうと、大きな口を開く。
その眼前に尖った牙が迫る。
『グサッ』
ジョージの頭に山岳狼の牙が刺さっ・・・たのではない。
彼は山岳狼の下顎にショートソードを刺し込んだのだ。
「一か八かは成功したな・・・」
「ガアォォォ」
山岳狼は吼える。
ジョージは、次に素早く下顎からショートソードを抜き取り。
山岳狼の左目に突き刺す。
目の奥まで響く余りの痛みに山岳狼が暴れる。
「グアアッオオォォ」
「うるさいぞ、駄犬があああっ!」
山岳狼は側にいるジョージを噛もうとする。
彼は左目から目尻、そしてうなじにかけて一筋の傷の線を入れる。
そのまま首の左側、左肩、さらに山岳狼の体の下に潜る。
ショートソードを上に掲げながら、胸から腹と胴体を切りつけながら走る。
最後に後ろに回り込み尻尾を斬る。
「ガア・・・ォ」
『ドタリッ』
山岳狼は体をゆっくりと崩し右に倒れた。
「やっと・・・終わったか・・・ふぅ」
ようやく、戦闘が終了した事にジョージは安堵する。
(・・・他の連中はどうなった・・・)
仲間達の事を心配したジョージは辺りを見渡した。