目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第49話 狩りは簡単に終わった・・・後は飯だ


 山岳狼の死体の場所まで戻ると。

 アレリオの言った通り、大山ネズミが死体を貪っていた。

 ミリカはそれを見ると、魔法を放つ。



「フレイムボール、フレイムボール、あはっ! ご飯っ♥ ご飯っ♥」


 楽しそうに、笑顔で大山ネズミを次々と焼いていくミリカ。



「お姉さまっ! 私も御手伝いをっ!! サンダーショット」


 シャリルも魔法を放ち、ミリカを手伝う。

 火炎魔法雷撃魔法に丸焼きにされる数匹の大山ネズミ。



「ジョージ様、今回我々の出番はありませんね」


「だなっ!」



 アレリオが言うと、ジョージは短く返事を返す。



「さあっ! テントに帰ってご飯にしましょっ? シャリル」


「はい、お姉さまぁっ♥」


 テントに帰ると言うミリカ。

 彼女に凄く嬉しそうに返事を返すシャリル。



 その様子を見ながら、ジョージは思った。



(・・・何だか本当の姉妹みたいだな? やさしい妹思いの姉のミリカ・・・姉を慕い懐く妹のシャリル・・・だが実際は? アンデッド化による洗脳によって作られた偽りの感情だ・・・)


 姉妹のような二人。

 それは偽りの気持ちだと、ジョージは思う。



(・・・だが例え・・・偽りの感情だとしても・・・二人がお互いの事を本当の姉妹のように大事に思い合っているのなら・・・いや? そうであって欲しい・・・)


 せめて、気持ちその物は本物であって欲しい。

 そうジョージは思った。


 テントに戻ろうとする、アンデッドの姉妹みたいに仲の良い、ミリカとシャリル達。


 その後を、ジョージとアレリオ達が。

 大山ネズミの尻尾を掴み、数匹づつ肩に担いで、後に続く。



「はあっ? やっとついたわ~~」


「はい、お姉さま、では、お料理をっ!」


「する必要はないだろ、もう焼けてんだから」


 疲れたとか、料理をと言い出す、ミリカとシャリル達。

 二人にジョージは言った。



「あっそうねぇ? さっき私とシャリルちゃんで魔法で丸焼きにしちゃったし、手の込んだ料理を作るのもめんどいしねえ~~」


 ミリカもそうか成る程と思った。



「では、ジョージ様とアレリオに、大山ネズミの焼き肉を捌いて貰い、皆で食事と言うことで」


「そうだなっ! アレリオ、捌くぞ」


 シャリルは大山ネズミの事を二人に頼んだ。

 ジョージはそう言って、アレリオと一緒に大山ネズミを捌く。



「はい、ジョージ様とミリカ様、そしてシャルの為にっ!」


 アレリオは真面目に捌いていく。

 適当に捌くジョージと違い、彼は綺麗に肉と皮を剥いでいく。



「な~~んかさ? ジョージの捌き方は雑よね~~こうさあ骨に肉がまだついているのに、適当にパッパッ、パッパと、ただ切ってるだけみたいに見えるだけど・・・」


「ミリカ、なら食わなくても良いぞ」


 ミリカは、ジョージの捌き方を見てそう呟くと、彼は言い返した。



「うそうそっ! 冗談よ、冗~~談っ! ジョージの捌き方は天才的よ、だから・・・ねっ? ご飯抜きだけは」


 ミリカはジョージに泣きつく、そして彼は・・・。



「はあぁ・・・こっちも冗談だよっ! さあそれよりも出来たぞ」


 ジョージは捌いた肉を剣で刺して、テーブルの上の皿に載せていく。

 そして、皆で頂きます、と言い大山ネズミの肉を食した。



「はう~~旨かった、旨かった」


「そうねぇ~~でも、まだ食べたりないかなぁ~~」


 ジョージはミリカを食いしん坊だなと思ったが。

 それを言うと、また面倒な事になると思い、その言葉を喉奥に仕舞い込んだ。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?