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第50話 肉を食べたら眠くなる


 只ひたすら肉を貪る四人のアンデッド達。


 俺たちはひたすらに肉を食らう。

 そして、腹が膨れると眠くなる。

 このまま意識を失っても良さそうな気だるさを感じる。

 それが、ゆぅ~~くりっと脳から全身へ伝わって体中の血管の中を漂う。


 ここで寝たいと一瞬思いはしたが、直ぐに思い直す。


 俺たちはアンデッドだ。

 こんな所で寝てしまったら、明日の朝には日の光で御陀仏だ。

 早く移動して、次に隠れる場所を・・・。

 魔物の住みかの山の洞窟や洞穴等を目指さなければ。

 腹一杯になり、精神的に眠く成りながらも俺は立ち上がる。



「行くぞ」


「はいはい、そろそろ行きまっーーーーしょうかぁあーー眠いっ!?」


「出発の準備は出来てます、ジョージ様」


「はいっ! 早く魔物の住みかの山へ行きましょう、ジョージ様」


 ジョージは皆に短く告げる。

 その言葉に、屈伸と欠伸をしながら答えるミリカ。

 アレリオは準備万端だと言わんばかりに答る。

 シャリルは黒焦げになるのが心配なのか、早く行こうと急かして答る。



「魔物の住みかの山に向かい、隠れる場所を諦めずに探そう」


 ジョージは、そう言って皆の先頭を歩いて進んだ。

 その後ろを他の仲間達はついて行く。


 そしてジョージは歩きながら考える。

 ここら辺の土地は穴を掘って見ると、どうかなとジョージは思いついた。



「アレリオ、ここ穴を掘れるかな?」


 何故、今まで穴を掘る事に気付かなかったのかとジョージは思う。

 そして、彼は穴を掘ってはどうかとアレリオに告げる。

 早速二人は共に岩や土に穴を掘った。

 だが、結果は・・・。



『カンッ』


「うわっ! 硬っ! ならばっ!?」 


 ジョージは硬い岩を削ろうと。


「ダークボール」


 暗黒魔法を放つが・・・。

 またもや岩は、穴を明けるどころか削る事すら出来なかった。



「ジョージ様これじゃあ・・・」


 アレリオも気まずいのか、言葉に詰まる。



「なら、穴を掘って見るぞ」


 ジョージは硬い岩が駄目ならば、アレリオと共に柔らかい土の地面に穴を掘って見ようとするが・・・。


 穴を掘ろうにも、ここら辺の土は柔らかくて凄く崩れ安い。

 その上に、暗黒魔法でも簡単に砕けないほどの固さの岩がある。

 そのせいで、穴を掘ろうにもこれでは意味がない。


 固い岩は穴を開けられず、地面の土は穴を開けても砂の様に崩れる。

 これでは例え穴を掘って、その中へ入ったとしても、崩れて生き埋めになってしまう。



(・・・アンデッドだから生きてはいないんだけどな・・・)


「まだ、ここら辺の地面は穴を掘るのは無理な場所なんだな」


 ジョージは、しょんぼりしながら歩く。



「硬いとは言え、岩を削る事すら出来ないとは・・・俺も暗黒魔法を最高威力まで高める努力をしないといけないな」


 ジョージは己の実力不足を痛感した。



「ああ、そうだ・・・アレリオ、さっきは凄く面倒な実験に付き合ってくれて有り難うな」


「いえ、ジョージ様の為ならば自分はこれくらい何て事有りませんよ」


 ジョージは、穴堀を手伝ってくれたアレリオに礼を言った。

 その礼の言葉に、彼はそう言いながら礼を言われた事を喜ぶ。



「そうか、なら良かった」


 ジョージは思う。

 アレリオやシャリル達は俺とミリカがアンデッドに変えて洗脳したんだと。

 望まぬ姿に生まれ変わり、偽りの忠誠心を植え付けられた。

 それすらも神に撰ばれたかの如く、喜び微笑む姿。

 彼等の今の姿は、非情に痛々しく憐れみすら浮かんで来る。


 ジョージはこの広い世界の謎を解くため。

 そして、アンデッドの自分とミリカが仲間を得るため。

 二人をアンデッドに変えた事を思い出した。



(・・・前にもこんな事を考えたなぁ・・・)


 二人にも言ったが。

 言葉だけではなくて、二人をきちんと仲間として待遇しなければならない。

 責任感の強いジョージは改めて思うのだった。

 チラッと、彼は後ろを振り返り、仲間達を見つめる。



 天真爛漫で我が間な、ミリカ。

 実直で便り概がある、アレリオ。

 優しくて冷静沈着な、シャリル。


 ふむ、ミリカはともかくとして。

 俺は、どうやら良い仲間を持つことが出来たようだな。

 アンデッド化による、悪堕ち洗脳で出来た仲間だとしてもな。

 フフッと、彼は小さく聞き取れないくらいの小声で微笑んだ。



「ジョージ、今笑ってたでしょっ!」


「ミリカ、いや笑ってないぞ」


 ジョージに文句を言ったミリカ。

 それを彼は違うと否定する。



「いーーや、ぜぇっーーたいに笑ってたよ」


「しつこいぞっ!」


 アンデッドのアホ二人達は、後ろの二人よりワイワイと騒いで進んで行った。

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