アホ二人組の騒ぎながらの行進は続く。
敵の魔物や人間達に気付かれるのかも知れないのに。
後ろの二人に思われているとも知らずに・・・。
「さっき言ったでしょっ! 正直に言いなさいよっ!」
「何も言ってないって、さっきから言ってるだろが」
アホーー二人を含む、アンデッド達四人のパーティー。
最初の山の山間部の間を通り抜け、魔物の住みかの山へ向かう途中の第二の山の頂上へ向かう。
ジョージは思う。
今登っている山も、前に登った山岳狼と戦った山も迂回できたらなあ~~と。
魔物の住みかの山の前にそびえる二つの山。
それは、ジョージ達から見て。
邪魔をして、通せんぼする巨人達の如く、立っているように感じた。
オマケに、それが迂回不可能なほど横に広がって、そびえ立っていた。
先程からワイワイ騒いでいた、ジョージとミリカ達の
彼等も、流石に急な坂を登るのに疲れるからなのか、騒ぐのを止めて黙って歩いていた。
山道は細く長い蛇の様な険しい道だった。
傾斜はきつくてゴツゴツした岩がそこら中に転がっている。
そんな登り憎く急な坂を、アンデッド達は進む。
蛇の様に、うねった坂の傾斜は段々と緩やかに成る。
そのお陰で、四人のアンデッド達の足取りは坂を登る度に軽くなっていく。
「もう少し、みたいだな」
「そうね」
ジョージとミリカ達は、坂を登りながら呟く。
もう少しで、山の中腹にたどり着く頃なのかと思いながら進む、四人のアンデッド。
彼等に声が掛けられた。
「おいーーおーーいーーーー」
不意に謎の人物から声を掛けられる。
何だと思い、四人は声のする方を振り向く。
「ジョージ様、あそこです、あの岩場の上に人が居ます」
「シャリル、何処だ?」
シャリルが指差す方へ、ジョージが目を凝らすと、見張りに立っている人間が見えた。
「君達もこの大陸に来た冒険者や発掘チームの学者なのか?」
「そうよーー私達も遺跡や魔物の調査に来たのよーー・・・クスクスッ」
見張りに立つ人間の質問に対して、ミリカはとっさに嘘を答える。
彼女はクスリと笑いをこらえる。
それから、真っ白い肌とは対称的な、血色の良い紅く染められた唇。
それを妖艶な仕草で舌嘗めずりする。
最後に、彼女はニィ~~と妖しく口角を吊り上げた。
「さぁ~~てとっ! シャリルちゃん一緒に行きましょうねっ? うふふふっ♥」
「はいっ! ミリカ様、一緒に彼等を我々の餌食に・・・ふふふ」
ミリカとシャリル等、アンデッドの女子達は二人して笑う。
「私達は前から、男達はぁ~~見た目が~~あれだから~~」
ミリカは、人間を騙すために作戦命令を出した。
「俺達は二人共、人間にはとても見えない姿をしているからな・・・後ろからついて行くよ」
「そうねぇ~~そうしたほうが良いわねーー」
ジョージがそう言うと、ミリカも彼の提案に賛成した。
そして、見張りの人間が。
「おぉーーい、何やっているんだーー? 早くこいよーー」
「ええーー今いくわ~~」
見張りの人間の呼び掛けに、ミリカは答えた。
「うふっ・・・ミリカ様ぁ~~早く彼等を殺しましょう♥」
「ええ・・・シャリル、さっさとあいつらを肉に変えて上げましょう、うふふっ♥」
何だか二人の話を聞いていると、不気味な会話だと思う。
(・・・だがどうでもいい・・・今大事なのはあいつら人間を殺し・・・あそこにあるであろう拠点を奪う事だ・・・あそこの拠点には建物やなんかがある・・・その中に日中は隠れるんだ・・・その為に彼等には俺達の餌になって貰うぞ・・・)
ジョージは考える。
そして・・・。
「アレリオ、俺達はこんな見た目だ、だから二人の後ろを歩くぞ」
「分かっています、この見た目では、こちらがアンデッドだってバレますもんね」
ジョージとアレリオ達は、そう言うと行動に移る。
ジョージはさっき言った通りに、ミリカの後ろを歩く。
アレリオも、シャリルの後ろについて歩く。
そして、人間達がいる拠点に向かって、四人のアンデッドは歩いて行った。