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第51話 発見された


 アホ二人組の騒ぎながらの行進は続く。

 敵の魔物や人間達に気付かれるのかも知れないのに。

 後ろの二人に思われているとも知らずに・・・。



「さっき言ったでしょっ! 正直に言いなさいよっ!」


「何も言ってないって、さっきから言ってるだろが」


 アホーー二人を含む、アンデッド達四人のパーティー。

 最初の山の山間部の間を通り抜け、魔物の住みかの山へ向かう途中の第二の山の頂上へ向かう。


 ジョージは思う。

 今登っている山も、前に登った山岳狼と戦った山も迂回できたらなあ~~と。


 魔物の住みかの山の前にそびえる二つの山。

 それは、ジョージ達から見て。

 邪魔をして、通せんぼする巨人達の如く、立っているように感じた。


 オマケに、それが迂回不可能なほど横に広がって、そびえ立っていた。


 先程からワイワイ騒いでいた、ジョージとミリカ達の二人アホ

 彼等も、流石に急な坂を登るのに疲れるからなのか、騒ぐのを止めて黙って歩いていた。


 山道は細く長い蛇の様な険しい道だった。

 傾斜はきつくてゴツゴツした岩がそこら中に転がっている。

 そんな登り憎く急な坂を、アンデッド達は進む。


 蛇の様に、うねった坂の傾斜は段々と緩やかに成る。

 そのお陰で、四人のアンデッド達の足取りは坂を登る度に軽くなっていく。



「もう少し、みたいだな」


「そうね」


 ジョージとミリカ達は、坂を登りながら呟く。

 もう少しで、山の中腹にたどり着く頃なのかと思いながら進む、四人のアンデッド。

 彼等に声が掛けられた。



「おいーーおーーいーーーー」


 不意に謎の人物から声を掛けられる。

 何だと思い、四人は声のする方を振り向く。



「ジョージ様、あそこです、あの岩場の上に人が居ます」


「シャリル、何処だ?」


 シャリルが指差す方へ、ジョージが目を凝らすと、見張りに立っている人間が見えた。



「君達もこの大陸に来た冒険者や発掘チームの学者なのか?」


「そうよーー私達も遺跡や魔物の調査に来たのよーー・・・クスクスッ」


 見張りに立つ人間の質問に対して、ミリカはとっさに嘘を答える。

 彼女はクスリと笑いをこらえる。


 それから、真っ白い肌とは対称的な、血色の良い紅く染められた唇。

 それを妖艶な仕草で舌嘗めずりする。

 最後に、彼女はニィ~~と妖しく口角を吊り上げた。



「さぁ~~てとっ! シャリルちゃん一緒に行きましょうねっ? うふふふっ♥」


「はいっ! ミリカ様、一緒に彼等を我々の餌食に・・・ふふふ」


 ミリカとシャリル等、アンデッドの女子達は二人して笑う。



「私達は前から、男達はぁ~~見た目が~~あれだから~~」


 ミリカは、人間を騙すために作戦命令を出した。



「俺達は二人共、人間にはとても見えない姿をしているからな・・・後ろからついて行くよ」


「そうねぇ~~そうしたほうが良いわねーー」


 ジョージがそう言うと、ミリカも彼の提案に賛成した。

 そして、見張りの人間が。



「おぉーーい、何やっているんだーー? 早くこいよーー」


「ええーー今いくわ~~」


 見張りの人間の呼び掛けに、ミリカは答えた。



「うふっ・・・ミリカ様ぁ~~早く彼等を殺しましょう♥」  


「ええ・・・シャリル、さっさとあいつらを肉に変えて上げましょう、うふふっ♥」


 何だか二人の話を聞いていると、不気味な会話だと思う。



 (・・・だがどうでもいい・・・今大事なのはあいつら人間を殺し・・・あそこにあるであろう拠点を奪う事だ・・・あそこの拠点には建物やなんかがある・・・その中に日中は隠れるんだ・・・その為に彼等には俺達の餌になって貰うぞ・・・)


 ジョージは考える。

 そして・・・。



「アレリオ、俺達はこんな見た目だ、だから二人の後ろを歩くぞ」


「分かっています、この見た目では、こちらがアンデッドだってバレますもんね」


 ジョージとアレリオ達は、そう言うと行動に移る。


 ジョージはさっき言った通りに、ミリカの後ろを歩く。

 アレリオも、シャリルの後ろについて歩く。


 そして、人間達がいる拠点に向かって、四人のアンデッドは歩いて行った。

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