目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報

【伊藤博文・坂本龍馬】大日本帝国に敵はなし

 坂本龍馬は、勝海舟からの電報を受け取ると、一度静かに息をつき、深く頷いた。「やはり、そうなったか」と呟く。電報には、インドでの事件の詳細が記されており、裏切りに対する勝海舟の対応が見事だったことが伝えられていた。坂本龍馬は、勝海舟の賢明さに感心し、すぐに動き出す決心を固めた。彼の海軍は、インドネシアを出発すると、速やかにオーストラリアへ向けて進軍を開始した。


**


 数日後、シドニーの港に到着した坂本龍馬は、冷静に状況を見極めた。オーストラリアを攻撃することには、少なからずリスクが伴うが、それでも敵国となったイギリスの植民地を叩くことは、大日本帝国の名誉を守るためにも不可欠だった。彼は、無駄のない動きで砲撃を開始した。港からは反応がなかったが、確実に目標を狙い撃ち、半日後には港に白旗が掲げられ、シドニーは無事に制圧された。坂本龍馬は、勝海舟に良い報告ができることに満足し、次なる行動に移るべく準備を整えた。


**


 その後、伊藤博文は執務室で報告を受け、冷静に受け止めた。彼の顔には満足そうな表情が浮かんでいた。勝海舟がインドで遭遇した裏切りの罠、それを乗り越えたことにより、今、坂本龍馬がオーストラリアを制圧したという報告が届いた。伊藤博文は、事前にこのような事態を予測していたため、冷静に次の手を考えることができた。



「やはりな」――伊藤博文は心の中で呟いた。インドに寄るようにイギリス側から話があった際から、何か裏があるのではないかと感じていたのだ。それを予見して指示を出した結果、全てがうまく運んでいることを嬉しく思った。彼はその計算の確かさに満足しつつ、次のステップへと進んだ。



 オーストラリアの状況を冷静に分析しながら、伊藤博文は自らの頭脳に満足しつつも、次なる課題に思いを馳せた。彼は以前からオーストラリアに金鉱が存在することを知っていた。イギリスによって多くは掘り尽くされているかもしれないが、それでも価値のある資源が残されている可能性は高い。金を採掘し、使いこなすことができれば、大日本帝国の経済は更に発展し、他の大国に並ぶことができる。



 しかし、それだけでは十分ではないと、伊藤博文は考えた。今回の日英同盟解消により、大日本帝国は孤立したように見えるが、実際には北米、中米、インドネシア、オーストラリアを含む広大な領土を持つ大国となった。特にパナマ海峡を手に入れたことが、今後の戦略に大きな影響を与えることは間違いない。もしフロリダの軍港が完成すれば、パナマを経由してイギリス本土に攻め入ることが可能になる。こうした目標が現実味を帯びてきたことに、伊藤博文は密かに興奮していた。



 それでも、彼には考えなければならないことがいくつもあった。オーストラリアをどう活用するか。反乱を防ぎ、搾取を徹底することは重要だが、それだけでは本土の発展に繋がらない。そこで伊藤博文は、大久保利通を呼び出して相談を持ちかけた。



「大久保、オーストラリアはどう使うのがいいと思う?」と、伊藤博文は問いかけた。



 大久保利通は一瞬考え、真剣な表情で答えた。「そうですね……。まずはイギリス人が反乱を起こさないよう、徹底的に搾取すべきかと。アメリカの二の舞にならないように」



 伊藤博文はその答えに頷きながらも、さらに考えを巡らせた。アメリカの反乱を忘れることはできない。あの時、機関銃での抵抗に苦しんだ経験は忘れられなかった。だが、それだけでは十分ではない。金鉱を採掘し、オーストラリアの資源を最大限に活用するだけでは、経済の発展には繋がらないと感じていた。



 そこで、伊藤博文はあるアイデアを思いつく。女性の社会進出を更に促進し、タイプライターを本格的に導入することだ。これにより、女性が働く場所が増え、社会全体が活性化するだろう。富岡製糸場や電話交換手に続いて、女性たちの活躍の場を広げることで、国の発展にも大きな影響を与えるに違いない。



 しかし、その一方で、女性の社会進出が進むことで、共働きの家庭が増え、子供を育てる環境が厳しくなる恐れがある。伊藤博文はその点を心配した。社会の安定には、子供を育てる環境が整っていることが不可欠だ。そこで、彼はベビーシッターを雇うための補助金制度を導入することを思いつく。この制度を利用すれば、女性たちは安心して働きながら子供を育てることができ、経済がさらに発展するだろう。



 この新しい制度が実行に移されれば、さらに多くの人々が恩恵を受け、国全体が活気に満ちるだろうと、伊藤博文は確信していた。大久保利通に指示を出し、側近に命じた後、ふと一人になったとき、彼は自らの国家の力を再認識した。今や、大日本帝国は世界最大級の領土を持つ国家となり、イギリスと並ぶか、それ以上の規模を誇る大国に成長したのだ。「日の沈まない国」、それはもはや空想ではなく、現実のものとなりつつあった。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?