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3 旅の始まり


「おはようございます!なにかすごくいいにおいです!」



「あ、おはようルーナさん!昨日はぐっすり眠れたかい?」

「朝食作ってみたんだけど、、、どう?」



「うわぁ〜!おいしそうです!ぜひ食べたいです!」



「よかった!用意するから少し待ってて!」


昨日より顔色がいい。ぐっすり寝て元気が出たみたいだ。

朝食を食べ、お腹も膨れたところで、今日の予定や今後について話し合った。


「ルーナさん。ここってどこら辺にいるかわかるかい?近くに町があったらいろいろ買い足したいんだけど。」



「えーっと、そうですね。今はランドベルク王国側にあるエルフの樹海といったところです。この先に行ったところにプメールという集合都市があります。まずはそこを目指すのがよいかと。集合都市と言うだけあって、商店や宿屋が多い都市ですから。」



「なるほど、まずはそこを目指した方がよさそうだね。他に都市や国ってあるの?」



「私もざっくりとしか知らないんですが、ランドベルク王国の中心には王都があり、王都を囲って5つの都市があるみたいです。私が知っているのはその内のプメールだけ。この大陸はランドベルク王国の周りに6つの国が存在しているようです。そんな話を叔母がしていました。」



「ふむ、なんとなくイメージはついたよ、ありがとう!」

「それじゃ、早速プメールに向かおうか。服は俺のでよかったら使って!少し目立つかもしれないけど。」



「はい!ありがとうございます!あの、その前に、、、」



「どうかしたの?」



「名前なんですが、、、」



「名前がどうかしたの??」



「ルーナと呼んでいただきたいです!!」



「あ~。うん。わかった。ルーナさ、、ゴホンっ、、、ルーナ!」



「あ、ありがとうございます!!!し、支度してきます!」



呼び捨てかぁ、少し恥ずかしい、、、


なぜか『アトリエ』には前世に着ていた服が置いてあった。

しかし、この世界でTシャツはなぁ、、、浮いてしまうよな。

プメールに着いたら服も買っておこう。



「どうでしょうか、、、この服すごいです!サラサラでいい香りがします!」



「そんなに嗅がないの!!とても似合っているよ!さっ、準備していくよ!」


たぶん柔軟剤の香りかな、、、そう思うことにしよう、、、


「待ってください~」


『アトリエ』をしまって、ルーナにプメールまで案内してもらうことにした。

旅の道中はいろんな話をした。ルーナはエルフだけあってか、弓が得意らしい。そして魔法も。

たぶんこの世界にはモンスターもいるのだろう。いつ戦闘になるかわからない。

旅の間、教えてもらうことにした。


スキル『即解』で基本的な弓術と、5属性の初級・中級魔法を覚えた。

あとは普段から体力づくりをして力をつける、筋トレだ。戦いには剣術も必要か。

『初期装備一式』の中に剣が入っていたか、それを使おう。


高校の剣道の授業を思い出しながら素振りをした。ルーナが不思議そうに見てきたので、祖国の剣術だとごまかした。剣道の文化なんてこっちにはないよな普通。


筋トレの合間に、的を作って弓や剣の練習をし、ルーナの魔法のレッスンでかなり鍛えられた。

スキルのおかげで習得が早い。それなりに形にはなった。


プメールに向かって旅を始めてから3日ほどすぎた。


「覚えるの早いですね!初めてとは思えないくらい!」


「へへ!そうかな!」


「火・水・地・風・治癒魔法の基本的なものは全部マスターしてますよ!」

「あとは、魔力量ってどのくらいかわかりますか?」


「魔力量?ってなに?」


「魔力量っていうのは魔法が使える量で、1/4くらい減ると魔力中毒を起こしますので注意が必要です!」

「例えば、気が遠くなったり、立てなくなったり、何もやる気がなくなったりとかですね!」


「ふむ、なるほど。魔力量が減るとそんな感じになるのか、、、注意しないとな。」


「試しに限界まで魔法を打ってみては?中毒を起こしても治癒魔法で治しますので!」


「そうだね!自分の限界を知っておくのも必要だしやってみるよ!」


「ファイヤーボール!ウォーターウォール!ストーンブラスト!ウィンドエッジ!」



覚えた魔法は全て打ちまくって一通り試した。が、何も体に変化はない。



「だ、大丈夫ですか!?」


「大丈夫みたい、、、教えてもらった魔法は一通り全部試して見たんだけど、、、」


「えー!そんなに魔法を打って魔力切れにならないなんて、、、」


「ち、ちなみに普通の人だとこれだけ魔法を打って平気?なものなのかな?」


「あれだけ魔法を使ったら、とっくに魔力切れで倒れてますよ!ひなりさんの魔力量すごいです!!」


「うーん、そうなのか。でも底を知りたいから適当に試してみるね!」


「えー!あれだけ打ったのにまだやるんですかー!?」


「倒れたらよろしくね!」


「は、はい~!」



魔力が枯渇するまで魔力を放ち続け、時には山をぶち壊し、時には草原を焼け野原にし、そうしていると日が暮れ夜になろうとしていた。



「あ、あの〜。まだ続けるんでしょうか、、、」


「あ、そろそろ終わるよ!疲れてきたしね!」


正直全く疲れていない。ほんとに初級と中級魔法なのか。朝から晩まで魔法を放ち続けても疲れすらない。


「料理さくっと作るからちょっと待っててね~」


「あ、その、、、なにかお手伝いしたいのですが、、、」


「手伝ってくれるの!?ありがとー!それじゃ少し手伝ってもらおうかな!」


「はい!がんばります!」


ルーナも料理に慣れているようだった。昔の経験だろうか。

こうして二人で旅なんて思ってもみなかったけど、意外と楽しい。


一人じゃないからかな、、、


昼間は戦闘の訓練、夜は『アトリエ』でゆったり過ごし、旅を始めて6日ほど経った頃、遠くに都市が見えてきた。


「ひなりさん、ひなりさん!あれです!あれがプメールです!」


「お〜、あれがプメールか!あと少し頑張ろう!」


「はい!」


「そういえばルーナはエルフ族だけど入っても大丈夫なの?」


「プメールは大丈夫だと思います。他の都市はわからないですけど。」

「プメールには市場が常に開いているので、いろんな人種がいます。エルフは森から出てこないので珍しいかもしれませんけど、、、例えば獣人とか人間と普通に暮らしてますよ!」


「獣人!!どんな獣人がいるの??」


「えーっと、猫とか犬とか虎とか兎とかですかね、、、私も見たことないので。」


「なるほど、、、それはよいですな。」


「ん?なにがです?」


「いや!なんでもないよ~」


俺は猫や犬が大好きである。そうモフモフしたいのだ。

前世でも家では飼えなかったが、公園で猫や犬を餌付けしてはモフっていた。

だがしかし、獣人だからなぁ、、、人だ、、、急にモフってもいいですかなんて言った時には変態扱いされるだろう。モフ欲を抑えなければ、、、ぐぬぬぬ、、、


「おっと、そういえばTシャツでは目立つからなマントを作っておこう。」


スキル『創成生造』!

ランドルの毛皮で二人分マントを作った。


「マントを羽織って都市へ入ろう。」


「わかりました!」



そうこうしているうちにプメールの関所へとたどり着いた。


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