関所には都市へ入る人の行列ができており、兵士が検問をしていた。
何か検問で見せているらしい。
俺は小声で、
「ルーナ。みんな何か見せてるけど何かわかる?」
「あれはギルド証か誓約書なんかを見せているんです。それがないと都市へは入れません。」
「なるほど、そういうことか。」
俺はとっさに、前にいる人のギルド証を参考に、スキルで作ってみることにした。
スキル『創成生造』、俺とルーナの2枚分ギルド証を作った。
「ルーナ、これを。これで入れるだろう。都市に入ればそれは消滅するからな。あと、それから。」
ルーナの頭に手をのせ、スキル『隠蔽変化』を念じた。
ルーナの耳を人間のように小さくした。
「これで、人間に見えるだろう。都市にエルフがいるのは珍しいと言っていたから念のためな。」
「ギルド証から耳まで、ありがとうございます!そんな力初めて見ました。」
「ま、まぁ、故郷の力だよ。秘密な。」
「はい!」
やっと順番になり兵士にギルド証を見せ二人とも無事、都市に入れた。
ルーナもエルフだとばれていない。少しひやひやした。
「よし!これでプメールを見て回れるな!」
「はい!ひなりさんのおかげで助かりました!」
「とりあえず本物のギルド証を作りに行こっか!」
「そうですね!今後も必要でしょうから。」
プメールは思っていたより栄えていた。
集合都市というだけあって、いろんな店が立ち並んでいる。
とりあえず俺たちはギルドを探しに歩き回った。
そして、『ハンターギルド』という看板を見つけ入ると、周りのいかつい人たちがよそ者が来たぞみたいな目線をこっちに向けてくる。まぁ予想はしていたのでそこはスルーして受付に向かった。
受付にはきっちりギルドの制服を着た綺麗なメガネの女性が立っていた。
「こんにちは!今日はどのようなご利用ですか?お二人とも見たことないお顔ですが、、、」
「初めてで、ギルド証を発行してもらいたいんですが、、、」
「あっ、すみません!初めての方なんですね!ギルド証発行ということで承りました。」
「申し遅れました!私、お二人の担当を務めます、オリビア・ミンチェスターと申します。よろしくお願いします!」
「こちらこそよろしくお願いします、俺は篭本灯生、それから、、、」
「私はルーナと申します!」
「かごもとひなりさん、、、東方の方でしょうか?ここら辺ではあまり聞きなれない言葉ですね。」
「あー、そうなんです!旅をしてきたんですよ!」
「そうだったのですか!それでギルド証を、、、なるほど!承知しました!それではこちらのギルド証発行書類に記載をお願いします!」
さらさらっと書き、ルーナは文字が書けないようで二人分書いて提出した。
「はい!承りました!発行しますので少々お待ちください!」
しばらくするとギルド証をもってオリビアが戻ってきた。
「お待たせしました!こちらがギルド証になります。初めてということで少しご説明しますね。」
「ハンターギルドは各都市に1つずつと王都にあります。掲示板に張り出されている依頼をこなしてランクをあげ、上位になるほど難易度が高く、危険な依頼も受けられるようになります。」
「最初はEランクからとなり、下からEDCBASと上がっていき、その上は肩書き持ちとなります。現在、肩書持ちの方は王国でも数えるほどしかいません。ランクは依頼達成量はもちろん、レベル、魔力量などの総合で決まります。」
「ここまででご質問はございますか?」
「あー特にはないかなー、、、ルーナは何かある?」
「あの、、、魔力量ってどうやってわかるんでしょうか?」
「普段は魔力水に血を一滴垂らしていただければわかります。が、私の場合は見ればわかりますので大丈夫ですよ!あ、これは内緒です!」
と言った後にオリビアは俺の耳元で、
「灯生様、あなたは量が多すぎますので、魔力を抑えるアイテムを身に着けた方がよいかもしれません。」
「えーっと、それはどういう、、、?」
「それでは説明は以上になります!気になる依頼がありましたらお呼びくださいね!」
「しばらくはプメールに滞在するのですか?」
「一応そのつもりです!」
「でしたらおすすめの宿屋があるので行ってみてください!ここを出て左に、突き当りまで行くとあります!大きなランドルのスカルが目印なのでたぶんわかると思いますよ!」
「ありがとう!夜に行ってみます!」
魔力量が多すぎる?魔力を抑える?どういう意味だ?少し気に留めておこう。
「よし!ギルド証ももらったことだし、買い出しついでにいろいろ見て回ろっか!」
「はい!楽しみです!!」
俺とルーナはハンターギルドを出て、まず服屋を目指した。Tシャツと適当なマントじゃあまり馴染めないだろう。
「服屋だな。好きものを選んでいいよ!」
「いいんですか?」
「うん!マントも丈夫なのを買っておこう。」
「わかりました!あ、あの、、、」
「ん?なんだい?」
「肌着も買っていいでしょうか、、、」
「あ、あぁもちろん、、、」
俺も一応買っておくか。
服屋で生活に必要な服を揃え、市場を見て回った。
「ルーナ!買い忘れはないかい?」
「はい!大丈夫です!」
「それじゃオリビアが言っていた宿屋に行ってみようか。」
「はい!行きましょー!!」
ランドルのスカルを探して歩いていると見つけた。が思っていたより、スカルの迫力がすごく、
「ランドルってこんなに大きいのもいるの!?」
「私もこんな大きなのは初めて見ました!?」
「キングランドル亭、ってそのままだな、、、とりあえず入ってみようか。」
「そうですね、、、」
入ってみると1階は酒場で2階が宿のようだ。
「いらっしゃ〜い!お泊り?それともお食事かい?」
少し大柄なおばさんがでてきた。
「朝と夜、食事付きで1週間ほど泊りたいんですが、、、」
「あいよ〜!それじゃ先に食べていきなぁ〜。部屋は後で娘に案内させるよ!好きな席にどうぞ~!」
「ありがとうございます!」
窓際の空いてる席にルーナと座るとおばさんがすぐに来てくれて、
「なんにする~?」
「おすすめと、、、お酒って何がありますか?」
「一番人気なのはビールだね~、ワインもいろいろと置いてあるよ!」
お酒の名前は一緒なのか、、、
「それじゃビールで!ルーナはどうする?」
「それじゃわたしも、、、」
「あいよ!ちょっと待っててね~」
「ルーナ!お酒飲んだことあるの?」
「いや、、、初めてで、、、ひなりさんが一緒ならいいかなって、、、」
「そうなの!?まぁ余ったら飲んであげるよ、、、今日は疲れたしいっぱい食べようね!」
「はい!結構歩いたのでお腹すいちゃいました!楽しみです!!」
しばらくすると、
「はい〜!おまちどう!ビールとおすすめの7種だよ〜!おかわりも大丈夫だよ~!」
「うぉー!おいしそー!それじゃ乾杯、ルーナ!」
「はい!乾杯です!!」
二人とも意外とお腹が空いていたのか、アッという間に食べ終えた。
ルーナはというと、初ビールで案の定かなり酔っていた。
「おばさーん!そろそろ部屋に行きたいんですがー!」
「あいよ!ちょっと待ってて〜!娘が行くから!」
しばらくすると俺と同い年くらいの女の子が来て、
「こっちだよー!ってそっちの女の子大丈夫??結構酔ってるね~」
「あー大丈夫!担いでいくから!」
案内され部屋に着くと、
「そんじゃーごゆっくり~!」
部屋にいるときは耳を戻しておこう。
ん?あれ?一部屋?ダブルベッド?酔ってるせいで何も頭が回らない。
カップルと間違えられたのか、、、とりあえずルーナをベッドに寝かせてっと。
さて、俺はどこで寝よう。あっちの椅子で寝よう、そうしよう。
ん?あれ?うごか、、、手をつかまれている??ルーナかぁ!?
どうしよう、動けない、起こさないようにそっと手を放そうとした瞬間、すごい力でルーナが引っ張ってきてそのままベッドに、、、なぜ、こうなった、、、このままで眠れるのか、、、
とりあえずベッドから離れようと、、、できない、、、がっちり腕をつかまれている、、、
柔らかいものの中に挟まっている!!!!!このまま寝るか、、、ぐぬぬぬ、、、
そのまま、挟まれた状態で夜を過ごした。