何とか、2時間ほど眠れた。
そして未だに同じ体制である。
「ルーナ、起きな、朝だよ。」
「ふにゃふにゃ~、まだ眠いです~」
「腕しびれてるから、起きてー。」
「んー?うでー?」
「んー?あれー?なんでひなりさんの腕がー?」
「離してくれなかったからそのままここで寝たんだよ、昨日酔ってそのまま寝たでしょー。」
「ん~昨日、、、あ、あー!ごめんなさい!!!!」
やっと起きたようだ。
「私、ひなりさんの腕を、、、!ご、ごめんなさい!!」
「うん、まぁその大丈夫、、、」
お互いタジタジである。
「そろそろ起きて朝食を食べに行こう!」
「はい~」
1階に降りると朝食の準備ができていた。
「あ〜おはようさんお二人とも!ぐっすり眠れたかい~?」
おばさんがニヤけながら聞いてくる。
俺は小声で、
「その、、、もう一部屋ないんでしょうか、、、俺たちカップルじゃないんですが、、、」
「あらっ!そうだったのかい~、でもあいにく部屋は全部埋まっててね~、お連れの方綺麗だし損じゃないでしょ~!」
「それは、、、否定できないですが、、、」
「それじゃいいじゃないか!朝もしっかり食べていきな!」
上手く丸め込まれたような、、、他の部屋空いてないんだったら、、、仕方ないか。
朝ごはんをさっと済ませるとおばさんが、
「昨日伝え忘れていたけど、朝夜ごはん付き1泊で銀貨3枚だよ!次の日の朝に払ってくれればいいからね!」
「それから紹介しとくね!奥にいるのが店主で私の夫のゴードン、それから娘のドドリー、そして私がクレンだよ!よろしくね~!」
「俺は篭本灯生、そしてルーナです!」
「お二人は今日は依頼かい?」
「そのつもりです!」
「がんばってね〜!気を付けるんだよ~」
「ありがとうございます!!」
キングランドル亭を後にし、ギルドへ向かった。
受付には昨日と同じオリビアさんがいた。
「おはようございます!灯生さん!ルーナさん!」
「おはようございます!オリビアさん!Eランクの依頼のおすすめはありますか?」
「それでしたら、、、これなんかどうでしょう!南西の森での薬草採取、薬草はポーションの材料のベルシス草とニトラ草、それぞれ20本ずつですね!受けますか?」
「そうですね、、、勉強にもなるしこの依頼受けたいと思います!」
知識として『アトリエ』の本で読んだが、経験として薬草採取はありだと思った。
「承知しました!買取もこちらでさせていただきますので!お気を付けて行ってらっしゃいませ!」
俺たちはプメールを出て南西の森へと向かった。
「ルーナ!植物や薬草についてはどのくらい知ってる?」
「そうですね、、、食べられるものは大体わかるのですが薬草はあまり知りませんね、、、」
「それじゃいい機会だし、探してみようか!ベルシス草はツーンとした香りで葉っぱがギザギザ、ニトラ草はさわやかな香りと細い葉っぱが特徴だよ!」
「頑張って探してみます!!」
お互い意外とすぐ見つかりギルドへ戻った。
「お帰りなさい!意外と早かったですね!ベルシス草とニトラ草、それぞれ20本ずつ、はい、確かに!換金してきますで少々お待ちください!」
しばらくすると、
「お待たせしました!銅貨10枚、お受け取り下さい!」
うーん、あまり儲からないなぁ、、、
「あの、、、もう少し報酬の高い依頼はないんでしょうか?」
「Eランクですから、同じ薬草採取かランドルかポッピルなどの動物の狩猟、これは角や毛皮やお肉も売却できます。あとは、、、ダンジョンでモンスターを倒し魔核を売却という方法もあります。」
「ダンジョンがあるんですか!?あと魔核って、、、?」
「ありますよ〜!ダンジョンは都市によってバラバラですが、ここでは一番北にあります。魔核はモンスターを倒すと出てくる、いわゆるモンスターの心臓みたいなものですね。モンスターのレベルによって魔核の質や色が違うので、より強いモンスターを倒すとそれなりの値段で買取ができます!」
「魔核は買取だけでなく、武器や装備などのアイテムにも加工できるので重宝されていますよ!」
「おぉ、、、それは興味深い!ルーナ、君がよければダンジョンに行ってみないかい?」
「そうですね、、、時間もありますし行ってみましょうか!」
「装備は俺の初期装備を使うといいよ。まだ使ってないから傷もないしね!」
「ありがとうございます!!頑張ります!!」
「ダンジョンは迷路になっていて罠もありますから十分に気を付けてください。倒せないと思った敵に遭遇したら逃げることも考えておいてください。しっかり装備と準備をしてから行くのをおすすめします。」
「わかりました!助言ありがとうございます!!」
俺たちは北にあるというダンジョンへと向かった。
スキル『創成生造』で初期装備の複製を作った。初期装備というだけあって、そんなに防御力はなさそうだがないよりはましだ。
北の山の方に歩いていくと遺跡のような場所にたどり着いた。
「ダンジョンはここかな、、、」
「ルーナは弓と魔法で後方支援、俺は剣と魔法で戦う感じでいいかな?」
「はい!いいと思います!」
「ルーナ、戦闘は初めて?」
「狩りは何度か経験あるので大丈夫かと、、、」
「わかった!頼もしい味方だ!」
内心かなり心配だ。いつどこから敵に襲われるかわからない。
周りに敵がいないかわかるスキルがあればいいんだけど、、、
そういえばあのスキルは使えるのか、名前からするに思考を読みとる的なやつだと思うんだけど、、、
まぁ使ってみるか。スキル『思考念熟』!
そして、初めてのダンジョンへと足を踏み入れた。
だいぶ薄暗いがところどころに松明があるおかげでなんとか歩いて行ける。
なんの遺跡なんだろう。なんの為に創られたんだ?
「ルーナ、暗いから足元気を付けて。」
「はい!」
「何か変わったことがあったらすぐに知らせてくれ。」
ん?何か聞こえる。スキルに反応した。曲がり角だ。
ルーナに待てと合図を送り、石ころを投げてみた。敵はゴブリンだった!
典型的な敵だが、前世で見たアニメでもあまりいい印象はない。
気づいていないうちに俺が先行して倒しに行く。
「お゛ぉー!!」
何とか倒した。初めての感覚。新鮮、というより生きるための必然的行動、といった感じか。
ゴブリンは砂のようにサラサラと消え、魔核のみ残った。緑の魔核だ。
「ひなりさん!やりましたね!」
「うん、、なんとかね!」
普段から筋トレや練習をしていた甲斐があった。
さらに探索を進めていく。1階層はゴブリンしか出現しないのか、他のモンスターが見当たらない。
ゴブリンをルーナと連携しながら倒していく。ゴブリンを20体くらいは倒したか。
さらに奥へ奥へと進み、大きな扉を見つけた。
「これは、ボス部屋か?」
「どうしますか?先に進みますか?」
「いや、今日はここまでにしよう。来た道を戻ろう。」
「また明日ここに挑戦しよう。」
「わかりました。」
来た道を慎重に戻っていく。ゴブリンがところどころ復活している。
ボスを倒した後にこれを戻るには疲れすぎている。ここで戻って正解だったみたいだ。
無事に出口までたどり着いた。
「よし!ギルドに戻ろうか!」
「はい!魔核も結構取れましたし、いい値段で買い取ってくれるでしょー!」
「だと、いいんだけどね、、、」
ギルドに戻りオリビアさんに魔核の買取をお願いした。
「お疲れさまでした!魔核の買取ですね。えぇーっと、緑の魔核が、、、10、20、、36個ですね!
初めてでこの量はなかなか見込みがありますねー!換金しますので少々お待ちください!」
「お待たせしました!銀貨3枚と銅貨6枚になります。」
なるほど、緑の魔核1個分が銅貨1枚か。30枚で宿代1日分か。まぁ想像通りか。
「ありがとう!また明日も来ます!」
「お待ちしてますー!」
「それじゃ宿に戻るか!」
「はい!もうお腹ペコペコです~」
「今日もいっぱい食べような!」
俺とルーナはキングランドル亭へ戻った。
「あー!お帰り〜お二人さん!疲れただろ、たんまり食べてね!」
「ありがとうございます!!じゃー今日もお任せで!ビールは、、、1つで!」
「ルーナ!今日はお酒飲んじゃだめだよ~」
「わかってますよー!もう、、、」
すぐに料理がきた。が、、、
「はい!お待ちどう!灯生君にはビールね、ルーナちゃんにはビールはちょっときつかったと思うから飲みやすいワインだよ!」
「クレンさん!だめですよー!昨日の見てたでしょー!」
「そこまできつくないお酒だから大丈夫!ルーナちゃんもしっかり飲んで食べてね~!」
「そんなぁ~、、、」
数時間後、案の定昨日の二の舞である。飲みやすいお酒というのはおかわりしたいもので、前世でも居酒屋あるあるである。また部屋まで運ばなくては、、、
「ルーナ!部屋に戻るよー!起きてー!」
「わかってまぁしゅ~、、、ぐぅ~」
部屋にルーナを運び、そして昨日と同じように同じベッドで寝る羽目になった。
別に嫌ではない、そう嫌ではない、が今日の夜もなにか破裂しそうだ、、、そして腕にまた当たっている、、、俺は眠れるのか、、、、
気づいたらルーナが俺の上に乗っかっていた。
それもそうだが、え、キス?キスしている??しかも濃厚なやつ!?
「ひなりさ~ん、だいしゅきでしゅ~!」
あ、抗えない、、こ、こんなの初めてだ。
ルーナはまだ酔っているようだ。
「ルーナ、、、まだ酔ってる?強引すぎるよ、、、」
そのまま寝てしまった、、、夢でも見ているのか。
俺もそのまま朝までぐっすり寝た。